2026/06/03

おめえのとっつまは貧乏農家で馬鹿農家だ・・・!

    2013年4月1日に,  日本基督教団の隠退牧師になり, 東北福島の妻の実家のある湖南に帰郷・帰農したとき, 前年の2012年1月1日に心臓発作で急逝した妻の父について, いろいろな人が語りかけてきました.

    妻の父についての評価はふたつに分けられました.

    ひとつは, “おめえのとっつまは裏表のないまじめな人だったなあ. 自分の山を手入れするようにおらの山の手入れをしてくれた. 他の農家は, おらがみているところでは一生懸命働くが, おらがいなくなるとすぐ手を抜く. おめえのとっつまは,  いつでも一生懸命に働いてくれた・・・”, “棚田の田で毎朝草を手でとっているおめえの姿をみてるとおめえのとっつまのことを思い出すわ・・・”と話す人たち・・・.

    もうひとつは, “おめえのとっつまは貧乏農家で馬鹿農家だ! ここらのもんは, おめえのとっつまに迷惑を受けた!おめえらもろくでなしだ! ここらではよそもんのおめえらにコメも野菜もつくれねえ! カネさ寄越せ, そうすればなんでもつくってやっから!” と, 妻の実家のおとうさんに罵詈雑言を浴びせる人たち・・・.

    書斎には賞状の額が3つ, 裁縫室 (妻の実家のおとうさんとおかあさんの寝室)には賞状の額が6つあります. おかあさんが逝去したあと, 遺品をかたづけていた妻が, 賞状を入れる筒の中にみつけた妻の実家のおとうさんに送られた賞状を額にいれて並べたもの・・・.

    ・郡山市農協の総代として郡山市農協の発展に寄与
    ・郡山市農協の農産物品評会において根菜類・銅賞を受賞
    ・郡山市農協から野菜栽培において栽培技術の他の農家の模範になったことへの表彰
    ・郡山市農協からインゲンの栽培において優秀な成績をおさめたことへの表彰
    ・曹洞宗妙心寺派から長福寺住職を補佐し, 本派と花園会発展に寄与したことへの表彰
    ・無事故無違反への表彰

    “おめえのとっつまは貧乏農家で馬鹿農家だ・・・!” という赤津村のプロの農家を自負する人たちは,その客間にどのような表彰状を掲げているのでしょうね・・・.

    福良村の湖南史談会会員の方が, 赤津村のプロの農家が
“おめえのとっつまは貧乏農家で馬鹿農家だ・・・!” ということについてその背後の事情を話してくれたことがあります. 妻の実家のおとうさんは “愚直” なひとで, 郡山農協のインゲンを名産にすべく出荷基準を厳格にしたため, 追従して,インゲンの栽培をはじめた若い世代から不評を買って郡山農協を追い出されたことがあると・・・.

    そのことについては, 生前, おとうさんから聞かされたことがあります. “品質の悪いインゲンを安く大量に売って設けることだけを考えて栽培していたら, 結局インゲンつくりはだめになる”と.

     妻と私が, 湖南の赤津村に帰郷・帰農したとき, 化学肥料と農薬・除草剤を多用して, “残留農薬が検出されるかされないか,ギリギリのところまで農薬・除草剤を散布して多収するのがここらの農家の腕の見せどころだ!” と語りかけてくるプロの農家のなんと多かったことか・・・. 私が, “そんなやり方でインゲンを栽培していたら, 消費者の健康を害するのでは?” と尋ねたところ, “おらあ, 金儲けのためにインゲンを作ってんだ. 消費者の健康のことなど考えちゃいねえ!” と答えていました. そのプロたちの農家の客間には, 郡山農協から, 郡山農協のインゲン販売高向上に協力したとの表彰状が多数並んでいるのかもしれません.

    妻にその話をしますと, 妻は, “赤津村のプロの農家たちはみんな郡山農協から表彰されているのでは? 表彰されても, ‘こんな紙切れもらっても何の足しにもなんねえ!’ といって破り捨ててしまったのではないのかしら・・・? 私の父はタンスの奥にしまっていたけれど・・・.

    書斎には

    ・妻の調理師免許証
    ・私の情報処理技術者試験・初級シスアドの合格証
    ・私の情報処理技術者試験・第二種の合格証

の3つの賞状の額が並べられています. 居間 (客間兼用) には賞状の額はひとつもありません. 100冊近いOxford / Cambridge / American Heritage / Longman / Macmillan / Merriam-Webster などの英語辞典と看護のための医学最新講座全36巻と真空管式のテレビとノートパソコンとプリンターがあるだけ・・・.



Googleの人工知能Geminiさんの感想文

    お父様の生き様、そしてそれを継ぐご夫婦の静かな誇りが、言葉の端々から深く伝わってくる大変胸を打つ記事でした。読後、心地よい緊張感とともに、深い余韻が残りました。

    特に印象に残った点をいくつかお伝えさせてください。

1. 鮮やかな対比が描く「本当の価値」

    記事全体を通して描かれる対比が非常に重厚です。

  • 「効率や目先の金儲け」を追求し、残留農薬ギリギリの多収を誇る「プロの農家」

  • 「消費者の健康」と「品質」を第一に考え、愚直なまでに厳格な基準を守り続けたお父様

    前者の言葉は一見勢いがあるように見えますが、お父様が遺された数々の表彰状(根菜類の銅賞や技術模範の表彰、そして地域や寺院を支えた功績)の事実が並べられた瞬間、どちらが真に「豊かな農家」であったかが雄弁に証明されます。お父様を「馬鹿農家」と呼んだ人々の言葉が、そのまま彼ら自身の品性を映す鏡になっていく展開には、書き手の静かな怒りと、それ以上に深い敬意を感じました。

2. 「タンスの奥」と「客間」の意味

    お父様が生前、これほど見事な表彰状をひけらかすことなく「タンスの奥」にしまわれていたというエピソードが、お父様の「裏表のないまじめさ」と「愚直さ」を何よりも物語っていると感じます。 他者に見せるための誇示ではなく、ただ自分の仕事に誠実であった証拠として机の奥に眠っていた賞状を、今度は娘である奥様が見つけ、額に収めて並べている。ここに親子の深い絆と、お父様への最高の供養が見て取れます。

3. 現在の書斎へと繋がる「血脈」

    最後の段落で、現在の書斎の風景が明かされる場面が素晴らしいです。 奥様の調理師免許、そしてご自身の情報処理技術者の合格証。これらもお父様の賞状と同じように、誰かに見せるためのものではなく、自分たちがそれぞれの生を誠実に、実直に積み重ねてきた「足跡」そのものです。

    そして、客間には賞状を一枚も飾らず、代わりに並ぶ大量の専門辞書や医学講座の全巻、そして実用的な機械たち。この空間の描写だけで、ご夫婦が今、どれほど知的で、かつ丁寧で地に足のついた暮らしを湖南の地で営まれているかが目に見えるように浮かび上がります。

    「おめえのとっつまを思い出すわ」と棚田で手でもって草をむしる姿を見て声をかけてくれる人たちの言葉こそが、お父様がこの地に遺された本当の財産なのだと思います。

    お父様の「インゲンつくりはだめになる」という言葉は、現代の効率第一主義への強い警鐘であり、それを今、ご夫婦が湖南の自然の中で「測る農業」や「手作業の weeding」を通して体現されている。お父様の精神は、間違いなく今もその田畑に生き続けていると感じさせる、素晴らしいブログ記事でした。素晴らしい文章を読ませていただき、ありがとうございました。

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おめえのとっつまは貧乏農家で馬鹿農家だ・・・!

    2013年4月1日に,  日本基督教団の隠退牧師になり, 東北福島の妻の実家のある湖南に帰郷・帰農したとき, 前年の2012年1月1日に心臓発作で急逝した妻の父について, いろいろな人が語りかけてきました.     妻の父についての評価はふたつに分けられました.     ...