日本基督教団の牧師になるために,東京町田市にある鶴川学院農村伝道神学校に入ったとき,同じ年に鶴川学院シオン幼稚園の教師になった妻と出会い,結婚することになったとき, 妻の一家を尋ねました.
そのとき磐越西線の上戸駅の駐車場の前の家に庭にりんごがなっているのをみました.ちいさな青りんご・・・. 宣教師ヘボンの本の中に,日本ではじめて日本のりんごを見たという記事があったのをおもいだして,ヘボンが見たりんごはこんなりんごだったのかなあ・・・と感動させられました.
そのとき, 妻の実家のおとうさんは, "おらはキリスト教は嫌いだ.でも, あなたは娘にとっていいひとみたいだから,結婚を許す.ただし,条件がある. どんなに歳をとっていてもいいから, 必ずふたりで元気でここさ帰ってくること"・・・と語りかけて来ました. 私は,その条件を受け入れて,妻と結婚することになりました.
娘が生まれたとき, 娘をつれて,妻と一緒に里帰りしましたが, 次に,娘をつれて里帰りしたのは, 娘が国立福島大学行政社会学部に入学したとき・・・. おとうさんは,娘の顔を見て,"このだんご鼻はおらの鼻と同じだ!" ととても喜んでいました. 福島大学に入学したときは, "よかった! ガングロでなくて, 普通の女の子で.あんた上手に育てたんだなあ.孫を連れてくるというから,もしガングロがきたらどうしようと思って,一睡もできなかったんだ." と話していました.
2005年から,春と秋の2回,6日間ずつ, 妻の実家に帰って,おとうさんと,妻と私が湖南の赤津村に帰郷・帰農して,有機無農薬栽培でコメと野菜を栽培する方法について話し合って来ました. 2013年の東日本大震災と原発事故による放射能汚染のあと, おとうさんは, "ここが汚染されていたら, もう福島に戻ってこなくてええ・・・" と寂しそうに話していました. 私は, "なにがあっても,約束通り,ここに帰ってくるから・・・" と答えました.おとうさんは, "おまえたちが帰ってきても農業できるように,営農資金を残しておくから・・・" と話していました.
おとうさんが心臓発作で2012年1月1日に急逝したあと, 2013年4月1日に牧師の辞任と,教会役員会の要望で,30年間牧会していた教会の閉鎖の手続きを済ませて, 妻のふるさとに帰郷・帰農しましたが, おとうさんは約束通り,妻と私に営農資金を残して置いてくれました.
それから13年,今年,営農資金最後の買い物として,KUBOTAのトラクターJB15Xに買い替えました.ほんとうは,おとうさんが使っていたKUBOTAのトラクターB6001(通称:ブルトラ)を使い続けたかったのですが, 修理費が嵩んで,新車を購入するより費用がかかるというので・・・.
お父さんが残してくれた営農資金の用途は以下の通り
・建物の塗装
・家具の調達(アウトレット品を購入)
・玄関・台所・風呂の窓の二重化
・石油ストーブ・ファンヒーター・豆炭こたつ・扇風機・冷風扇・空気清浄器の買い替え
・システムキッチンの更新
・餅つき機・ホームベーカリー・オーブンレンジ・ミキサー・炊飯器などの更新
・認知症のおかあさんの介護・医療費
・農機具の小屋に棚を設置
・各種農具の購入(おとうさんが使っていた農具は重くて使えないので軽いものを)
・育苗用ビニールハウスの構築
・無加温の簡易温室の構築
・28m長さの雨除け栽培用トンネル
・棚田の田のUV管の埋め込み
・吉田式ボウガケセット
・ロケットストーブ
・有機肥料
・土壌改良材
・農業用資材
・種と苗
・柿・りんご・ぶどう,庭木の苗木
・管理機の購入
・肥料散布機の購入
・万能型脱穀機の購入
・3条植え小型乗用田植機の購入
・バインダーの購入
・ハーベスタの取得(湖南の赤津村の専業農家の方からの無償提供)
・籾摺機の購入
・運搬用一輪車・二輪車
・ダンプ機能付きミニクローラ
・下草刈り用刈払機
・チェンソー
・噴霧器
・野菜乾燥機
・玄米保冷庫
・玄米保冷庫専用リフト
・玄米保管庫
・電動ドリル
・携帯用電気ドリル
・据え置き型電動ドリル
・電動裁断機
・チップソー研磨機
・電気のこぎり
・電気ジグソー
・発電機
・電圧上昇器
・充電器
・妻が使うジューキ職業用ミシン
・各種洋裁道具
・電子ピアノ
・ラジオ
・スマホ
・軽トラ
・車検・修理費用
・保険料
・ポリカ波板の屋根の仮車庫
そして,最後に,KUBOTAのトラクターJB15Xの購入・・・. これで,妻の実家のおとうさんが残しておいてくれた営農資金は使い果たすことになりました. 妻の実家のおとうさんがのこしておいてくれた田4.0反,畑0.6反,山林8反で百姓暮らしをするためには, 相当数の費用がかかりました. 妻の実家のおとうさんが営農資金を残しておいてくれなかったら,今のような年金暮らし&百姓暮らしを維持することはできなかったことでしょう.
本は,私の年金の一部を割いて,時間をかけて13年間で集めました.日本の古本屋・Amazon・BOOKOFF onlineで安価な古本ばかり・・・. 帰郷・帰農するときに持って帰った1,500冊の本に2,500冊を追加して4,000冊の蔵書になりました.
私は78歳,妻は70歳,これからも, これまで構築してきた基盤の上に立って, 質素で,清貧な老後の生活を続けることになります.
必要に応じてすべてのものを与えてくださる, 主なる神さまに感謝しながら・・・.
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