2025/12/16

老いては子に帰る・・・

    老いては子に帰る・・・

    生前, 認知症の, 妻の実家のおかあさんはデイケアに通っていました. そこで, 幼稚園生がするようなお絵かきや塗り絵,各種工作をさせられて, その作品を家にもって帰って来ていました.

    ひとは高齢者になればなるほど, 次第に, 壮年時代・青年時代の能力を失い, やがては子供に戻ってしまう. さらに,能力が失われると,あかちゃんのように,おむつをつけられて寝たっきりになってしまう.

    高齢になって失われるものに読書力があります. 読書力が失われて行くと, その読書は,専門書・研究書から一般書・俗書に移って行く. さらに,中高のときの読書に回帰し, やがては童話や絵本に戻って行く・・・.

    高校1年生のとき, 2年生の先輩に誘われて,2年生の現代国語を教えておられた広島大学大学院を出たばかりの落健一(通称:オチケン)の下宿先で,他の先輩たちとともに課外授業を受けていました. そのときの落先生の言葉,"1週間に1冊岩波新書を読みなさい.高校3年間で150冊の岩波新書を読むことができる.それから,毎週朝日ジャーナルを読みなさい.君たちがこれから生きなければならない社会や世界のことがよくわかる・・・" と話しておられました.

    昨日,須賀川のBOOKOFFに立ち寄ったとき,その言葉を思い出していました. 人生の晩年,毎週1冊,岩波新書にかぎらず新書版を読んで,その要約と感想をブログに書いていけば,りっぱな読書日記になると思いました.新書判ではなく, 文庫本を読んで,その読書日記を書くのもいいかもしれません. BOOKOFFに行くと,1冊
110~220円, 岩波文庫や講談社学術文庫のような古典や学術文書だけでなく, 最近の日本の青年の動向やポルノ小説など幅広い分野の文庫本が並んでいます.  漫画も・・・. 雑誌のバックナンバーばかりを集めますと, 政治・経済・社会・文化・風俗のコメンテーターのような読書日記を書くことも可能です.

    問題は, それらを書き続けることで,それを書いたひとの精神的・知的・論理的能力の低下,感性の劣化が,その文章の中に織り込まれ,練り込まれて,自らの老いをさらけ出すことになりかねない点にあります. 高齢化して,認知症の症状がで始めると, 高齢者はそのことに気づくことはできなくなります.

    そのような老いの罠に陥らないためには, "観念"の世界に定住するのではなく, "現実"の世界に立脚して,"現実" の世界を生きていく必要があります.  言葉を変えると,他者の考えたことを無条件に取り入れて自分の考えであるかのように語る,必要以上に自分を飾り,高めるのではなく,ありのままの自分の生き方をありのまま綴っていくことが大切です.


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老いては子に帰る・・・

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