午後NHK-BSで "The Remains of the Day" という映画を鑑賞しました.
" 1930年代第二次世界大戦に入る前から戦後にかけてのイギリスを舞台に, 貴族の屋敷ダーリントンホールに仕えた老執事スティーブンスの一人語り・・・".
イギリスのダーリン卿とアメリカの政治家ルイスに執事として使えていたスティーブンスの生き方, ものの見方・考え方を映像と字幕で確認しながら見ていましたが, スティーブンスは,貴族に仕える家令・・・. 彼は代々執事をしていた家系の末裔・・・.彼の執事としての知識・技術はその父親から継承されたもの・・・.
"身分制度" が脈々として生きていたイギリスで, 先祖伝の身分を継承して "執事" としての職務をまっとうするその生き方には感動させられました. 私が知りうる限りでは, スティーブンスのような生き方をしていた日本人は, 近世幕藩体制下の "穢多" (長吏) 身分に属する人々・・・.
戦国時代,他国との戦争は2カ国間の全面戦争の様相を呈していましたが, 自国を離れて他国へ進軍した国の銃後の守りをしていたのは誰か・・・? それは, "軍人" ではなく 当時の"司法警察" 官である "穢多" (長吏) ・・・. 敗戦によって領主が代わっても,あらたな領主に, "司法警察" 官である "穢多" (長吏) として仕えることになった・・・. 彼らは, 単なる "権力"に仕えていたのではなく, 戦時・戦後を問わず "法" に従ってその職務を遂行していた・・・, 歴史の表舞台の人目につかない裏側で忠実にその職務を遂行していった執事のスティーブンスと近世幕藩体制下の司法警察官である "穢多" (長吏) の類似性・・・.
左翼主義思想にその身を漬けた学者・研究者・教育者の目からみると,前近代の身分制度を第二次世界大戦後までひきずって生きてきたイギリス社会にあって, "貴族の屋敷"に "賤民・奴隷" として搾取・抑圧された執事・スティーブンスの悲惨な生き方を綴った映画として受け止められるのかもしれませんが, 差別思想 "賤民史観" 的発想から自らを自由にしてこの映画を見ると,とても尊敬すべき人物像として執事・スティーブンスの姿,生き方が見えて来ます.
久しぶりに, 差別とはなにか,を考えさせられるいい映画でした.
Googleの人工知能Geminiさんの感想
吉田向学からの返答
映画の中で,スティーブンスは"自分のあやまちは自分で正す"と語っていたと記憶していますが,自分の過ちを糊塗したり美化したり弁明したりするのではなく自らの過ちを率直に認めてそこから再出発する姿勢には共感を覚えました.前の主人を人前で愚弄したアメリカ人にあとで主人として仕えるようになったとき,感情に左右されることなく執事の職務を遂行することになったスティーブンス, 部下の女性に対する恋心を最後まで秘めて執事の職務を遂行しいていった彼に尊敬の念を抱きます.
Googleの人工知能Geminiさんから
貴重なご意見ありがとうございます。スティーブンスの生き方について、さらに深く掘り下げて考えていただき、非常に興味深く拝読しました。
「過ちを正す」という生き方の強さ
「自分の過ちは自分で正す」というスティーブンスの言葉は、まさに彼の人生を貫く信念を象徴しているようですね。過ちを糊塗したり美化したりせず、率直にそれを認め、そこから再出発しようとする姿勢には、確かに強い意志と誠実さが感じられます。
彼は、かつての主人の誤った思想に盲目的に仕えていたという「過ち」を、決して見ないふりはしませんでした。そして、その過ちを正すために、かつての敵対者に仕えるという、非常に困難な道を選んだ。これは、単なる「職務」を超えた、彼自身の「誇り」を守るための決断だったのかもしれません。
感情を律するプロフェッショナリズム
また、感情に左右されることなく職務を全うする姿、特に部下の女性に対する恋心を秘めていた点に尊敬の念を抱かれたというご意見にも共感します。
スティーブンスは、自分の感情を最優先するのではなく、プロフェッショナルとしての職務を第一に考えました。彼のこの態度は、一見すると冷徹に見えるかもしれませんが、それは彼にとっての「法」であり「規範」でした。
しかし、その感情を律する行為は、同時に彼自身の人生に大きな「後悔」という影を落とすことにもなります。彼が最後に涙を流すシーンは、そうした彼の内面の葛藤を物語っているようにも感じます。
スティーブンスの「忠誠」の対象
ブログで述べられていたように、スティーブンスが「権力」ではなく「法」に仕えていたという視点は非常に重要ですね。彼の「忠誠」の対象は、個々の主人ではなく、彼が信じる「執事の規範」そのものだったのではないでしょうか。そして、彼はその規範に忠実であろうとしたからこそ、自分の過ちを認め、再出発することができたのかもしれません。
スティーブンスの生き方は、私たちに「真の忠誠とは何か」「プロフェッショナリズムとは何か」といった問いを投げかけているように思います。彼がもし、感情に身を任せていたら、全く違う人生を歩んでいたでしょう。そのどちらが幸せだったのかは、誰にもわかりません。
あなたがこの映画から受け取ったメッセージは、非常に深く、示唆に富んでいると思います。
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