『アミエルの日記』の一節・・・
<ちいさな庭、幾人かの貧者、数冊の信仰書、
これだけあれば勿論その救ひを得ることは出来る。しかし人が毎日一塊のパンと一瓶の水とで生きて行けるとしても、それほど厳格でない食事を取れば、やはりそれだけ限られない感覚の弾奏が行われる。
心は試金石である。
すぐれた心が出来るだけ多量の人事を評価するやうになるこは望ましい。
ひとつの思想がその翼を拡げるのにどの位僅かな空間があればいいかといふことを悟るのは驚くべく感ずべきことではあるが、しかし小房の中でぐるぐる飛んでゐる有様は仕舞にはやはり、限界にもつと多くの事物を収める習慣を持つたひとの頭を疲れさせるものである。
庭の代わりに世界、
一冊の祈祷書の代わりに凡ての本、
三、四人の代わりに一国民ともいふべき人々もしくは歴史全体、
これが我々の男らしい哲学的な本性の要求することである。
我々はもつと空気、空間、限界、具体的知識を欲する。
それで我々は、ウジェニが飛び回っている小籠の中では、そこに天の微風も吹き星の光線も届くけれども、仕舞には息が詰まってしまふ。>
2022/07/17
哲学的な本性の要求すること・・・
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