今日, Googleの人工知能 Gemini に私のブログの記事を読んでもらって感想を話してもらったとき, 人工知能 Gemini さんから, "'こらのもん' は方言ですか?" と問いかけられ,その返事に以下の言葉を綴りました.
日本の農村的地域社会では,未だに江戸時代の自然村の歴史と文化,習慣と慣習が息づいています.
私が住んでいる福島県郡山市湖南町は,いくつもの自然村が明治(1868年以降)になってから5ケ村に合併されて, "湖南五ヵ村" と呼ばれています. 何れも農村的地域社会です.
その5ヶ村のひとつ月形村では, 江戸時代からの村の住人のことを "本屋" と呼び,明治以降移住してきて住人となった人々は "借家" と呼ばれています. 農政に関するすべての権利は "本屋" の農家が独占, "借屋" の農家はすべてのことにおいて不利益な状況に置かれるのが常でした. 村の組織の中には, "目付頭" が置かれ,"部落の掟を破るものがいないか,どうかを監視し,また他部落・他村から入って来た, いわゆる "よそもん" の動静を監視する役目"を持っていました, もしこれに違背するものがあれば摘発し, 目付頭の指示によって処断される・・・" この"本屋" の住人のことを "縁故住人" (ここらのもん)と呼び, "借家"である "外来者" (よそもん)に対して, "封鎖的・排他的" 対応を取りがちになります. (参考資料:林野庁刊 "和28年度 山村経済実態調査 福島県安積郡月形村")
民俗学者柳田國男の "日本の祭" の中には, "他所 (よそ) の者" という言葉が出て来ますが, "Yosonomono" が地域的方言でなまって 短縮され "Yosomon" になりました. Yosonomono" は, 村の重要な祭儀に際して排除・疎外された人々のことです.
ちなみに, 私が持っている 滝川清他著 "会津方言辞典" には, "ここらのもん" も "よそもん" も見出し語にはありません.
妻の故郷・湖南町5ヶ村の一つ,赤津村では, 江戸時代から代々続いた赤津村の住民 "ここらのもん" から排除・疎外,冷遇された "よそもん" が, 新たに村に移住して農業をはじめた人々を,自らを "ここらのもん"ととなえ, "よそもん"を徹底的に排除・疎外,嫌がらせをして,それまでのうっぷんを晴らす傾向があります. "ここらのもん" と同じ存在になりたくてもなれなかった "よそもん" の屈折した心理が,あらたな "よそもん" の差別者になっていきます.
被差別者が差別者になっていく心理的・社会的メカニズムが日本の農村的地域社会にはいまだに存在しています.
2025/03/31
"ここらのもん"は方言ですか・・・?
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