2025/03/09

食料自給率の幻想・・・

    布浦芳郎著 "世界食糧戦" という本があります.

    昭和19年に12月に出版された本です. その著者は,私が日本基督教団西中国教区の山口のちいさな教会の牧師をしていたとき, その教会の書記をされていた木村正幸兄のおじさんにあたる人だそうです.

    牧師室の書棚にその本があるのを見て,木村兄がそのことを教えてくれました. 3,000部出版されたそうですが, その本をもっている信徒の方と牧師,不思議なめぐりあわせでした. 彼は,その伴侶の方と, 牧師である私を最後まで支えてくださった方です.

    その本によると, ドイツが第一次大戦で敗北した主な原因は, "ドイツは食糧については全くの無準備.無計画のまま戦争に突入" したことにあるという.

    "ドイツ食糧の外国依存性は次の四点であった.
    (イ)ドイツにおける農業労働力の相当部分を,季節雇又は出稼労働者の形で, 毎年夏期に外国から導入していたこと
    (ロ)家畜飼育のため,濃厚飼料用原料を多量に輸入していたこと
    (ハ)人工肥料を用ひ,特に窒素肥料(原料チリ石灰)とリン酸塩原鉱とを大量に輸入していたこと
    (ニ)世界のあらゆる国々から,各種の完成食糧品を常時大量に輸入し, 特に, パン用穀物を北アメリカから輸入していたこと"
    それが, 
 "大戦末期のドイツに思わざる破綻を招来した" そうです. ドイツでは, "栄養不良,飢餓等による死亡者の数は763,000人に達した"そうです.  
 

    それは何もドイツだけに限ったことではなく, イギリスも戦争によって食糧難を引き起こしていました. ただ, イギリスは, ドイツと違って,戦争中に食糧の自給率を向上去せることが出来ました.

    1933年1月に, ヒットラーが政権を獲得すると, ドイツは, 戦前,第1次・第2次の両四カ年計画を通じて, "食糧対策には万全を期した" そうです. ヒットラーが政権をとったときの食糧自給率は75% ・・・.

    その当時,食糧自給率が100%を越えていた国は3カ国,アメリカ101.76%, ソ連101.13%, 日本100.00%・・・.

    ドイツも日本も食糧自給率100%に達したとき, 戦争に突入したようです.

    布浦芳郎著 "世界食糧戦"の最後の項目は, "困苦窮乏に堪へる日本とドイツは最後の勝利者である"・・・. その本が出された1944年12月10日の5ヶ月後, ドイツは西側連合国に無条件降伏しました.

    "戦争が起こればどこの国もかならず食糧の不足に苦しむ"・・・.  現在, "日本の食料自給率は, カロリーベースで令和5年度に47%"・・・. 47%が, 第二次世界大戦前の100%に達しても, いざ戦争が起こると,その数字は絵に描いた餅になる.絵に描いた餅では,国民を食糧難による飢えから救済することは出来ない. 国を愛し, 国民を愛する政治家は, 最後の最後まで戦争を回避する努力が必要です. 日本国憲法の前文は, 平和を愛する諸国民の善意を前提として, 外交問題を軍事力で解決しないと宣言していますが, 日本をとりまく国々 (ロシア・中国・北韓国南朝鮮) が日本侵略を公言している中にあって, 日本は自衛のための軍事力を強化,自力で他国の侵略を阻止するための備えをする必要があります. 戦争をしないために・・・.

    昨夜,戦争中に出された,農林技師工藤三蔵著 "指導員必携農業宝典" と戦後に出された "北海道農業事典" をひもといていました. 戦争という暗い時代とその後の国民の飢えを解決するための農の知識と技術に関する本です. "自給自足のための農業" は, 単なる趣味ではなく, ひととして生きるための努力です.
   

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