日本の社会から部落差別がなくならない理由のひとつに、こんな事例があります。
それは、筆者が日本基督教団西中国教区の山口の小さな教会の牧師をしていたとき、教会員の半数は、部落出身者かその関係者(伴侶・息子娘)でした。
教会役員のひとりが、その人のおじさんが、離婚、被差別部落出身の女性と再婚して、同和対策事業に参加する資格を得て、無利子で長期間同和対策資金を借りて、事業を展開、その事業に、彼女(役員A)の伴侶も関わることになったと話していました。教会役員会でそのことが話題になったとき、
役員B:従兄のむすめさん、被差別部落出身ということになるのでは?
役員A:大丈夫です。きちんと考えています。おじさんの娘は、資産家の娘として、基督教主義大学の東京女子大学に進学させ、大学を卒業したとき、アメリカに留学させ、ふさわしい相手と結婚させれば、部落関係者として差別されることはありません。本籍も、最初から地区外ですから・・・。娘には、子供の頃から、部落出身ではないと教育していますので、差別者担っても被差別者になることはありません。
役員C:あなたのおじさんは、部落解放同盟の支部長さんでしょう?
役員A:ええ? 知ってたのですか?
筆者:あなたの姪ごさんが、部落差別から免れたとしても、あなたのおじさんが部落解放同盟の支部長をされている被差別部落の他のひとは、どうなるのですか? 私立の名門の東京女子大学に子供を通わせたり、アメリカに留学させたりすることができるほど、経済的ゆとりのある人は多くはないでしょう? 貧しい被差別部落のひとはどうなるのですか?
役員A:牧師さんは、部落民が部落民でなくなることに反対なんですか?
筆者:そういうことではありません。わたしが聞いている部落解放運動とはかなり違いがあるので・・・。
役員A:牧師さんは、世の中のことなにも知らないんです。
実際の会話は、もっと深刻な内容を含んでいますので、水で薄めた表現にして、差し障りのないものにしていますが、同和対策事業がからんだ部落解放運動は、魑魅魍魎が跳梁跋扈する世界です。同対審答申のいう<国民的課題>とは、まったく別の世界が広がっています。補助金行政が、国民を駄目にする典型的な例のひとつでしょう。教会役員のおじさん、部落解放同盟の某支部長さんは、やがて、利用価値がなくなった支部長を辞め、その被差別部落の人々を残して、その被差別部落をあとにすることになるのですから・・・。
2023/02/20
差別がなくならない、もひとつの理由・・・
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