日本基督教団西中国教区の山口のちいさな教会の牧師に赴任したとき、西中国教区の牧師たちは、<吉田牧師は、いまだに召命なんて、信じてる。赴任する教会が、どういう教会なのか、事前に調べもしないで、赴任するなんて、時代錯誤も甚だしい。神学部や神学校は、卒業生がどこに赴任するのか、下調べをしたあと赴任させるのが普通・・・。吉田牧師には何も知らせないで、神学校の校長が、前任者が自害して、牧師と信徒の間で、部落差別について葛藤がある教会に派遣するのは、神学校が吉田牧師を切り捨てて、見捨てたのと同じ・・・。それなのにまだ召命を信じて教会にとどまり続けるなんて、狂気の沙汰・・・>と、筆者のことを批判していました。
赴任してまもなく、教会に関係のある日本基督教団の隠退牧師が、筆者の生まれ故郷・岡山にわざわざでかけて行って、筆者の身元調査をしてくるということがありました。
某牧師:先週、吉田さんの本籍地に行って、身元調査してきました。
筆者:身元調査して、なにかわかたのですか?
信徒:吉田牧師は、わたしたちと違うということが分かりました。
筆者:違うというのは、どういうことですか?
信徒:違うということは違うということです。わたしたちは、吉田牧師の伝道に協力することはありません。
教会役員会で、そのことが話題になったとき、
教会役員:その某牧師も信徒も、被差別部落出身であり、吉田牧師の身元調査をしたということは、吉田牧師が彼らと同じ被差別部落出身であるかどうかを、わざわざ岡山に行って調べて来たということです。吉田牧師が被差別部落出身ではないとわかってがっかりしたようです。
筆者:私は、てっきり、逆かと思っていました。
そのあとは、奇々怪々なできごとばかりが起きました。そのひとつが、部落差別に関する結婚差別・・・。
信徒A:息子が、女の子をつれてきて結婚したいというので反対しました。
筆者:なぜ、反対したんです?
信徒A:だって、その女の子、貧乏人の娘ですもの。息子が結婚すると苦労するに決まってるわ。
筆者:お互いに愛し合っているなら、結婚を認めてあげたら、どうです?
信徒A:そんなことできません。わたしたちは、同和事業で、貧乏から脱出して経済的に豊かになったのに、なんで、息子の嫁に貧乏人の女の子をもらわなければならないんですか? また、差別される貧しい状態に戻るではありませんか?
筆者:あなた、同和地区のひと?
信徒A:ええ? 牧師さんは、教会員のことならなんでも知っているわけではないんですか?
筆者:知りません。本人から直接きいたこと以外は・・・。あなたが、被差別部落出身者というなら、結婚差別されるものの痛み、悲しみがわかるのでは?
信徒A:だめです。息子の結婚相手は、わたしたちより経済的に豊かなひと、学歴がある人に決まってるんです。
筆者:わたしの娘はまだ幼稚園生ですが・・・?
信徒B:わたしたちは、これまで苦労して運動して同和事業で経済的豊かさを手に入れてきたんです。なんでいまさら、貧乏牧師の娘を嫁にもらわなければならないんです? 今度は、わたしたちが、差別する番です。
筆者:部落解放運動とは、すべての人が差別されない世の中をつくることではないんですか?
信徒B:違います。差別された人と差別された人との立場が逆転することです。
実際の話しより、水で薄めた柔らかい表現にしていますが、日本基督教団西中国教区の山口のちいさな教会の牧師に赴任したときから、<なんでこうなるの?>という事例・現象に多々遭遇しました。
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