2022/03/20

作戦線と後方連絡線・・・

東京堂出版『軍事の事典』から・・・

<軍がその根拠地から出発して、目的に向かうために取る道路を「作戦線(line of operations)」と呼ぶ。これに対して作戦軍に生活物資を含めた軍需品を送り、負傷者や捕虜を送り出すための交通路を「後方連絡線」(line of communications)と呼ぶ。大体において作戦線と後方連絡線は一致するが、必ずしも同一ではない。それは鉄道を後方連絡線に使う場合があるからである。自動車輸送に押されているが、まだまだ鉄道は物流において重要な役割を果たしている。それに軍事物資を運ぶ輸送部隊と戦闘部隊が同じ道路を使うのは望ましくない場合も多い。というのは道路が渋滞し、輸送車両と戦闘車両が混じり合い、作戦に齟齬を来す危険があるからである。道路は混雑していない方がよい。>

<軍隊はクロス・カントオリーよろしく、どんな地形も踏み超えて前進するイメージがある。たしかに歩兵はその能力を持っている。だが道なき道を進むことほど、体力を消耗し疲労を蓄積させることはない。一番楽なのは平坦な道路上を行軍することである。それに現代の軍は自走砲を含め近代装備、即ち各種の重量物を随伴しなければ戦えない。いくら自走砲がキャタピラー化され路外走行性を持たされているとしても、すべての作戦行動期間中まったく道路を通行しないことを考えているのではない。そんなことをしたら故障が多発するし時間もかかりすぎる。道路を使った方が遙かに早いし効率的である。さらに重要なことは補給上の便である。もし完全に道路を離れて作戦が行われたら、補給部隊が追従できない。トラックも入れない悪路の先で作戦する部隊には補給が滞る可能性が出てくる。車両が入れないとなると人力による搬送だが、これだとかっての太平洋の島々の日本兵のように食料欠乏に陥ってしまう。しかも軍隊は戦わなければならない。弾薬の補給、消耗した兵力を補充する要員を送りとどけるのにも、負傷者や捕虜をさげるにも、交通の便が大切なのである>。

世界第2位の軍事力を誇るといわれるロシア・・・。今回のロシアの対ウクライナ侵略戦争を見ていると、ロシアは、軍事の基本すら知らないか、知っていてもそれを無視して無謀な戦闘状態に突入したか、いずれにしてもお粗末極まりない。軍事演習に引き続いて実践に突入したロシア軍の軍事演習とは何だったのか・・・? ロシア軍の軍事力の質の向上を目指したためではなく、ただ単に、ウクライナとヨーロッパに対する威嚇行為を目的としたずさんな軍事演習でしかなかったのだろうか・・・? かれらを待ち受けていたのは、ウクライナの国土・地理を知り尽くしていたウクライナのプロの軍隊、軍人たちであった。ロシア大統領・プーチンは、ウクライナ人民を解放するという大義名分を立てていましたが、ウクライナ国民は、ロシアの軍隊を解放軍として受け入れることを拒否、侵略者として徹底的に抵抗、反撃すると、ウクライナの国土・国民・歴史・文化を守るために愛国者としてウクライナ国民が立ち上がることを予見できなかったロシア軍の戦略ミスも重なってしまったようです。

朝、筆者、夢をみましたが、ウクライナに身を置いて、ロシアの空爆の音がどの方向からどの方向へ聞こえてくるのか、筆者の耳をそばたてている夢・・・。昨夜、上の東京堂出版『軍事の事典』を読んだためかもしれません。

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