今朝、インターネットの日本の古本屋経由等で、『アーレント=ヤスパース往復書簡』(全3巻)を注文しました。3冊で価格は、40,370円・・・。年金暮らしの筆者には、とても高価な買い物になります。
筆者、ヤスパースは高校生の時から読んでいますが、いままで、アーレンとの著作は一度も読んだことがありません。主要著書に『全体主義の起源』・『人間の条件』があるようですが、これまで、筆者の視野の中に一度も入ってきたことはありません。ヤスパースは大学の哲学の教授、アーレンとはその学生・・・。彼らの間に交わされた哲学論争を知りたくて、『アーレント=ヤスパース往復書簡』(全3巻)を注文しました。
今日届いた、矢野久美子著『ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者』の
中にこのような言葉がありました。
<死者との交わり
1969年2月26日、カール・ヤスパースがなくなった。86歳だった。ヤスパースの妻ゲルトルートから電報で知らせを受けたアーレンとは、すぐにバーゼルに飛んでいる。3月4日のバーゼル大学での追悼式典で、彼女は追悼の辞を述べた。その言葉を抜き書きしておきたい。
「私たちはいまここに集い、カール・ヤスパースがあれほど愛し尊重していた公共性の中で、ともに彼に別れを告げようとしています。
地上にある人間は、肉体を具えていることが必要です。著作だけ知っていて著者その人をじかに知らない者にとっても、本の背後には――バーゼルに、アウ街に――だれかがいる、その人が生きた声と身振りをもって語っているという確かさが必要でした。なぜならこれだけが、本に書かれていることは現実だったのだと保証してくれるからです。
・・・著作は、死んだ人が世界に残していったもの、世界は彼が生まれる前から存在し、彼が去ったあとも存在しつづける。著作がどうなるかは、世界のあゆみにかかっています。けれどもこれらの本は生きられた人生出会ったという単純な事実、この事実は、直接に世界に理解はされずに、忘れられてしまう危険にさらされています。人間のもっとも儚いもの、しかし同時にもっとも偉大なもの、つまりその人の語った言葉や独特の身振りは、その人と共に死んでいく、でもそれらこそ私たちを必要とし、私たちが彼を忘れないでいることを求めているのです。追憶は死者との交わりのなかで行われ、そこから死者についての会話が生まれ、それがふたたびこの世にひびきわたります。死者との交わり――これを学ばなくてはなりません、私たちはこの共同の追悼の場において、それを今始めようとしているのです。(『アーレント=ヤスパース往復書簡3』)>
今回の、ロシアによるウクライナ侵略戦争・・・、それは、<戦争の世紀>が過ぎ去った過去のものではなく、ロシア大統領・プーチンの政治思想によって再現される可能性が出てきました。共産主義、全体主義、専制主義国家による世界の平和が損なわれる可能性を前に、それに反対し、それを押しとどめようとする勢力がどこまで世界の平和を維持できるか、ひとりの人間として、このような時代をどう生き抜いていくべきなのか、対話の相手として筆者が選んだのが、『アーレント=ヤスパース往復書簡』(全3巻)です。
2022/04/26
朝、『アーレント=ヤスパース往復書簡』(全3巻)を注文・・・
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