大蔵暢著『「老年症候群」の診察室 超高齢社会を生きる』に、<高齢者の虚弱化がどのように進行するかの虚弱化プロセス>として、<健康期と虚弱期、高度虚弱期、終末期の4つのステージ>があげられています。
健康期:安定した歩行、栄養状態良好、認知症なし、抑うつ症状なし、日常生活自立
虚弱期:不安定な歩行(補助具使用)、早期認知症、抑うつ症状あり、軽度要介護
高度虚弱期:車いす使用、ベット上での生活、体重減少、進行期認知症、重度要介護
終末期:意識混濁、嚥下障害、脱水・栄養失調、肺炎、尿路感染
大蔵暢氏は、虚弱化は、<ゆっくりとした虚弱化の原因となっている日々の慢性ストレスと、大きな虚弱の進行をもたらす急性ストレス(大きな事故や転倒、精神的ショック、急病など)を組み合わせた複雑なプロセスで全体の虚弱化が進行すると考えています。よって一旦右方向に進行した虚弱を左方向へ回復させることは極めて困難であい、その意味において高齢者の虚弱化はゆっくりと進行する死へのプロセスと言えます。海外からの報告でも85歳以上の高齢者では一度喪失した日常生活機能を回復するのはほぼ不可能であるというものがあります。>といいます。
篠原恒樹著<老化とは何か>(南江堂『老年病学』)には、<老化と死のあいだに特別な因果関係が存在しているかどうかについては>明言できないとしています。<老化>は、<死を生ずる原因のひとつ、死の原因ではないが死に終わる過程、死と直接関係のない別のもの>・・・。
<老化>には、ふたつあるのかもしれません。<死に向かう老化>と<生に向かう老化>・・・。どのように高齢期を過ごすかは、ひとそれぞれ・・・。『聖書』の信仰は、<死に向かって老いる>のではなく、<死ぬまで生きる>ことにあると思われます。
2022/04/11
高齢者の虚弱化の進行、4段階・・・
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