『アーレント=ヤスパース往復書簡3』の一節・・・
60歳のアーレントが83歳のヤスパースに書いた手紙の一節です。<今回はにわかにぐんと歳をとってしまいました。肉体的にではないと思います。でもこれは老年のはじまり、ほんとうはそのことにたいへん満足しているのです。子どものころ、とうとう大人になったと感じたあの気持ちとちょっと似ています。こんどのは――とうとう落ち着きに達した、そしてあなたがたに近づいた、という感じ。そして老いを迎えることもまたあなたの導きのもとでできることを、感謝しています。あなたは私にとってはもちろん、いつまでもすこしもお変りにならないのですから>。
その1966年の手紙のなかで、アーレントはこのように言及しています。<中国についてですが・・・中国はアメリカがいつかは必ず攻撃してくると確信している。しかしアメリカが核兵器を使用したくともロシア(?)と国内世論がそうはさせないだろうと踏んで、その場合には当然に(?)中国が戦争に勝つと考えているのだ、と。これはありうることでしょうね。ジョンソンはどんなことでもやりかねません。この国をとんでもない窮地に追い込むかもしれない。中国と戦争になれば、この国のすべてが疑問にさらされるでしょう。想像しにくことですが、大いにありうることです。またしても政治なんぞをもちだして、うるさがらせてしまいましたね・・・>。
それから56年が経過・・・、21世紀に、20世紀の<戦争の世紀>が過去から亡霊のようによみがえり、ロシアは、自由と平和を求めるウクライナに対して侵略戦争が起し、戦後、中国が、中国の核心的利益として、満州・内モンゴル・チベット・ウイグルを侵略して領土を拡張してきたのと同じ手法で、ロシアの周辺諸国を侵略、ロシアの領土として併合・拡張しよとしている・・・。
2022/04/29
<今回はにわかにぐんと歳をとってしまいました>・・・
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