2022/04/26

アーレントの見るヤスパース・・・

矢野久美子著『ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者』の中に、アーレントがヤスパースを見るときの視線が記されていました。

<ヤスパースという人にあっては、この理性が実践されていたのです。そして、私には父がいませんでしたから、そうした理性を見ることによって、いわば育てられたといってもよいかと思います。もちろん、ヤスパースにいまの自分のありようの責任をとらせようなど、そんなめっそうもないことは思っておりませんが、私を理性へと導いた人間がいるとすれば、それはヤスパースをおいて他にはありません>。

ハンナ・アーレントはヤスパースに<父親>を見ていたのかもしれません。ヤスパースは、ハンナ・アーレントを<教え子>としてだけでなく<娘>を見ていたのかもしれません。実の娘は、<こんなわたしに誰がした!>と父親にくってかかるのかもしれませんが、ハンナ・アーレントはヤスパースに<父親>を見ていたとしても、<。もちろん、ヤスパースにいまの自分のありようの責任をとらせようなど、そんなめっそうもないことは思っておりません>と一線を画している・・・。

『アーレント=ヤスパース往復書簡』は、1926~1969年に書かれたもの。アーレント20~63歳・・・。ヤスパース43~86歳・・・。

0 件のコメント:

コメントを投稿

あたたかくなった台所・・・

    この前, 会津坂下のホームセンター・コメリで, クリナップ製のコメリ仕様の流し台とコンロ台を購入して, 穴の空いた流し台と入れ替えましたが, そのとき, 長年の水漏れで床板が腐って欠落しているのに気づき,手持ちの材料の中で, 床板として転用できそうな断熱材を張り詰めて, ...