2022/06/26

心の鏡に映る・・・

『アミエルの日記』を読んでいますと、<心の鏡>という表現が出てきました。

歴史上の実際の出来事、それが昔であれ今であれ、人が言葉にしてそれを記録できるのは、出来事そのものではなく、<心の鏡>に映った出来事でしかない、というのですが、問題は、その<心の鏡>・・・。

人はみな、同じ<心の鏡>をもっている・・・、<平面>という共通の属性を持つ<心の鏡>をもっているとしますと、歴史の出来事は、誰が見ても同じようにその<心の鏡>に映るに違いないのですが、アミエルは、<この鏡はどうしても平面ではない>といいます。

筆者の<心の鏡>とあなたの<心の鏡>は、同じ<平面>の鏡ではなく、<凹凸>のある鏡であり、その凹凸の数と大きさ、深さはひとそれぞれ・・・。歴史上の同じ出来事であったとしても、それをどのように受け止めどのように解釈するかは、その人の<凹凸>のある鏡によって大きく制限され、歴史的な事実は、<著しく変更>を余儀なくされる・・・。歴史的事実(伝説も)は、<事物が次々に語り継ぐ人々の想像力、精神、心胸の中に呼び覚ました凡てのもの>によって<付加>され、歴史的事実は、常にあらたに解釈しなおされることになる・・・。

哲学者・アミエルは、考えるひとが自分の<心の鏡>を批判的に自己検証し、その人の<心の鏡>の凹凸による変更をできる限り抑えて、歴史の事実、真実にたどりつき、その真実に生きることについて思索する・・・。

0 件のコメント:

コメントを投稿

知力の限界・・・

    知力の限界・・・     それを感じ始めたのは, 高校1年生のとき・・・.  中学3年の3学期, 私が尊敬し,その中学校教師のような教師になりたいと思っていた教師が, 公金横領詐欺事件で児島署に逮捕されたという報道が, ラジオから流れてきました.     私は高校受験のた...