『アミエルの日記』を読んでいますと、<心の鏡>という表現が出てきました。
歴史上の実際の出来事、それが昔であれ今であれ、人が言葉にしてそれを記録できるのは、出来事そのものではなく、<心の鏡>に映った出来事でしかない、というのですが、問題は、その<心の鏡>・・・。
人はみな、同じ<心の鏡>をもっている・・・、<平面>という共通の属性を持つ<心の鏡>をもっているとしますと、歴史の出来事は、誰が見ても同じようにその<心の鏡>に映るに違いないのですが、アミエルは、<この鏡はどうしても平面ではない>といいます。
筆者の<心の鏡>とあなたの<心の鏡>は、同じ<平面>の鏡ではなく、<凹凸>のある鏡であり、その凹凸の数と大きさ、深さはひとそれぞれ・・・。歴史上の同じ出来事であったとしても、それをどのように受け止めどのように解釈するかは、その人の<凹凸>のある鏡によって大きく制限され、歴史的な事実は、<著しく変更>を余儀なくされる・・・。歴史的事実(伝説も)は、<事物が次々に語り継ぐ人々の想像力、精神、心胸の中に呼び覚ました凡てのもの>によって<付加>され、歴史的事実は、常にあらたに解釈しなおされることになる・・・。
哲学者・アミエルは、考えるひとが自分の<心の鏡>を批判的に自己検証し、その人の<心の鏡>の凹凸による変更をできる限り抑えて、歴史の事実、真実にたどりつき、その真実に生きることについて思索する・・・。
2022/06/26
心の鏡に映る・・・
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