日本のことわざのなかに、<サルも木から落ちる>というのがあります。
金子武雄著『続・日本のことわざ』の中に、このような説明がありました。
<猿は動物のうちで一番人間に近く、その行動が格別注目され、諺の中にも盛んに引き合いに出されている。この諺は、だれでもよく知っているように木登りの名手である。指のすばらしく発達して手と足と、それから、時には、尾まで巧みに使って、枝から枝へ、木から木へと、自由自在に渡って行く。けれども、そんな木登りの名手も、時には、過って木から落ちることもある。
以上のようなことは、人間の世界にいくらでもある。乗馬の名手も、時に落馬することもあるし、弓術の名手も、ときに、射そこなうこともある。珠算の名人が誤ることもあれば、将棋の名人が負けることもある。この諺は、こういう世の事実を指摘しているのである。
ある道にすばらしく巧みな人が、つい過って失敗を犯した時、世の人々はこの諺によって、それももっともだと思う。またある道に巧みな人自身は、この諺によって、万が一にも過ちを犯さないように自戒するのである>。
2014年のロシアによるウクライナ半島侵略のあと出版された、高橋洋一著『世界のニュースがわかる! 図解・地政学入門』に、<猿も木から落ちる>ということわざの典型例が記されていました。地政学の専門家である著者の高橋洋一氏は、<クリミヤでギリギリの攻防を見せたロシアは、これから、どうしたいのか。おそらく、ロシアはかっての帝国時代のような拡張主義的な野心は、もはや抱いていないのだろう・・・>といって、今回のウクライナ全土の、ロシアの圧倒的な軍事力によて、侵略戦争をしかけ、ウクライナの主権と領土を奪う、ロシア大統領プーチンの<拡張主義的な野心>を把握しそこなっていることは、<猿も木から落ちる>を絵に描いたような事例ではないか・・・。その背景には、高橋洋一氏の、専制主義国家・ロシアや中国に対する寛容な精神があるのではないでしょうか・・・?そうだとすると、<猿も木から落ちる>という諺を隠れ蓑にした、悪しき反逆行為・・・? 高橋洋一氏、すくなくとも、その読者に対して、間違った予測を提示したことに違いはない・・・。
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