2023/01/26

所与の人生を引き受けて生きる・・・

筆者、高校生のとき600冊の本を読みましたが、その読書半ばで、<所与の人生を引き受けて生きる>決断をしました。高校2年の3学期、Sweden Covenant Mission の宣教師から、『聖書』の読書指導をしてもらいはじめ、高校3年の2学期に洗礼を受けて、Sweden Covenant Mission の宣教師のいう<日本的基督者>になりました。

Sweden Covenant Mission の宣教師を尋ねる前に、筆者は、『聖書』の神をほんとうの神として信じて生きる決断をしていましたが、それは、言葉を変えると、<所与の人生を引き受けて生きる>ということになります。

父から、筆者の先祖は、真言宗の住職の家系であることは、洗礼を受ける前に教えられていましたが、父に、<どういう家系なのか?>尋ねると、父は、<自分で調べろ!>とひとこと言っただけ・・・。筆者、<調べて分かる家系なのか?>、父に尋ねましたが、父は何も答えませんでした。

筆者の先祖が誰であったのか? 祖父・吉田向学とはどのような人であったのか、関心をもちつつも積極的に調べることもなく、いたづらに歳を積み重ねていました。そんな筆者が、先祖のルーツを気にしはじめたのは、日本基督教団西中国教区の山口の小さな教会に赴任して、西中国教区総会で、西中国教区部落差別問題特別委員会の委員を押し付けられ、その取組のなかで、山口の、旧長州藩領地の<穢多>役、<非人>役の末裔の方々に出会い、彼らから、<吉田さんのルーツは何ですか?>と聞かれ、即答できなかったことにはじまります。そのとき、筆者は、筆者の母が四国阿波の先祖代々百姓であったことから、<先祖は百姓です・・・>と答えていました。近世幕藩体制下の長州藩とその枝藩では、身分は、武士身分(藩士・侍雇・穢多・非人など)と百姓身分(農・工・商)に分かれていましたが、筆者の先祖は、どう考えても武士身分ではなく百姓身分だと信じていました。

ところが、65歳のとき、日本基督教団の隠退牧師になり、妻のふるさと・湖南に帰郷帰農することが決まったとき、戸籍を妻の実家のある住所に変更するために戸籍を調べていたとき、祖父・吉田向学の出生地を知り、インターネットで検索していたとき、『近世栗田村古文書集成』に遭遇、取り寄せて見たところ、その中に、父から聞かされていた先祖の名前を見つけました。それで、父が、真言宗の住職の家系であると話していた先祖は、寛永14年(1637年)開山された<新義真言宗修験伊勢国度会郡中本山世義寺の末>、真言宗当山派の修験僧、聖徳太子像を本尊とする栗田村太子堂の世襲の住職であることが分かりました。その『近世栗田村古文書集成』には、栗田村には、穢多・非人身分の人は一人もいないこと、もし、殺人・強盗などの刑事事件が発生したときは、近隣の村の穢多役を雇って、犯人追捕の依頼をした・・・と記されていました。

それで、筆者のルーツは、母方は、阿波の国の坂根の百姓、父方は信州の栗田村の住職と判明し、筆者のルーツは、いわゆる<被差別部落>の人々のルーツとはまったく異なるルーツであることが判明しました。それでも、筆者、English Writingで『部落学』(Research on Buraku Discrimination in Japan)を執筆しようとするのは、日本基督教団西中国教区の山口の小さな教会の牧師をしている間に、<被差別部落>の古老たちの、先祖の歴史を忘れず、差別されてもそれを跳ね返して生きて行こうとする方々に出会ったからです。穢多寺と言われた浄土真宗の住職の方々との出会いも、印象深い出会いでした。近世幕藩体制下の<穢多>役、<非人>役は、差別された<賤民>などではなく、当時の司法・警察官であったと、差別思想である<賤民史観>の学者・研究者・教育者の部落史研究や学校同和教育・社会同和教育の一般説とはまったく異なる見解を持つようになり、それが歴史の真実であると思うようになったからです。

真実を知ったものは、その真実を語り続けなければならない・・・! 山口の地において、山口県立文書館の研究員・北川先生や、山口県立図書館の研究員・木下先生にであったこと彼らから、部落史研究についていろいろ影響を受けたこと、その出会いも黙殺するようなことがあってはならないと思っていますので、無学歴・無資格(Academic Outsider)として、English Writingで『部落学』(Research on Buraku Discrimination in Japan)を執筆することを、日本基督教団の隠退牧師である筆者の課題にしています。このことも、所与の人生を引き受けて生きる、流れの中で出てくる、筆者のいとなみです。

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