日本基督教団西中国教区の山口のちいさな教会の牧師をしていたとき、日本基督教団が部落解放同盟から糾弾を受けて、全教区に部落差別特別委員会が設置され、各教会に部落差別問題との取り組みをうながすことになりました。
そのとき、筆者、西中国教区の部落差別問題特別委員会委員を押し付けられ、山口で具体的に部落差別問題に取り組むことを要求されました。そんな要求をされても、門外漢の筆者が、いきなり山口の被差別部落を尋ねても受け入れられるはずがありません。
しかし、あるとき接点ができて、部落解放同盟山口県連の新南陽支部の学習会に参加することを許され、その被差別部落の老若男女からいいろいろな話をお伺いすることができました。そのときの内容は、筆者がワープロで打ちだして資料として関係者に配布しました。
筆者は、徳山市議会の事務局につとめていた教会書記役員の方と、市会議員の同和地区先進地調査の準備・同行・資料整理を担当したことで知り得た同和地区の在所や、長州藩の史資料に出てくる穢多や茶筅の在所を尋ねあるくことができました。筆者が知り得た、被差別部落について、あるとき、部落解放同盟新南陽支部の部落史研究会の方々と同和教育担当教師たちに、筆者が知り得た被差別部落を一緒に巡り歩くことになり、筆者はそのツアーを企画しました。
そのとき、尋ねた先で、筆者、思いがけない事態に遭遇・・・。筆者がひとりで、史料片手に尋ねたときに、話してくださった内容とは、まったく異なる内容の話が飛び出してきたのです。ある浄土真宗の寺では、最初に筆者が住職さんにあったときは、歴史資料を踏まえた内容だったのですが、部落史研究会や同和教育担当教師の方々と尋ねたときには、<この寺には、昔の史資料はありません。それで、探偵社に頼んで、この寺の歴史を調べてもらったのですが、ここをご覧なさい。この寺は、被差別部落とは関係がないと書かれているでしょう。みなさんにお話しすることはなにもありません>と言ったのです。
そのとき、筆者、思ったのですが、部落解放運動をしているから、同和教育を担当しているから、被差別部落の歴史についてすべてを知りうるわけではない、むしろ、そうしているがゆえに、隠され続ける被差別部落の歴史もあると・・・。それ以来、筆者、部落差別に関する筆者の発言・文章は、すべて、筆者個人に全責任があるとの自覚をもとにしてきました。山口の未指定地区の被差別部落の古老が教えてくれた、そこが被差別部落であるかどうかの判断の基準・・・、それが極めて有効であることを知った筆者は、いまだに誰にも口外することはありません。
被差別部落の歴史を調べるのに、一番大切なのは、被差別部落の人々との信頼関係の構築です。
2021/11/24
部落解放同盟の支部の方々 & 同和教育担当の教師の方々と被差別部落めぐり・・・
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