2022/09/28

プーチンに激怒するスターリン・・・?

この数日、田中克彦著『「スターリン言語学」精読』を読んでいます。まだ、通読途中ですが、この本を読みながら、なにとなく、違和感を感じ始めました。現代にスターリンが生きていたら、プーチンの対ウクライナ侵略戦争に対して激怒したのではないかと思いました。

日本の左翼は、<マルクス主義は民族解放の思想であり、民族解放戦線のための理論的基礎を提供するものだという通念>を信じているようですが、田中克彦は、<マルクス、エンゲルスという、マルクス主義の始祖たちには、そのような配慮は全くなかった>といいます。<マルクス主義の始祖たち>は、欧米の主要な言語<文明語の前に、ほかの劣勢民族の言語は滅びればいい、いな滅びるべきだと考えて何も問題なしにすませた>そうです。

それにひきかえ、スターリンは、<劣等民族が優勢な民族が作る国家の中に吸収されて消えて行く過程>のなかで、民族問題は階級闘争へ集約されていくことこそ<進歩へのかかせない過程>であるという<正統マルクス主義>に対して激しく異を唱えたそうです。スターリンは、<搾取するヨーロッパ>と<搾取されるアジア、アフリカ>という対立構造の中で、<搾取されるアジア、アフリカ>をも視野に入れて、少数民族のために、1.彼らの母国語をつかわさせ、2.その教育のために学校を与えることを保障、<それが民族の解放につながるという考えを・・・一度もとりさげなかった>そうです。

<1936年のいわゆるスターリン憲法は、その第17条で、同盟構成各共和国は、ソビエト同盟から自由に脱退する権利を保有する」と規定した。<この規定は、1977年のいわゆるブレジネフ憲法のもとで・・・「諸民族の自由な自決」>という言葉すら付加したというのです。民族の自決を認めることは、<独立の民族国家を形成することを意味している・・・。・・・しかし、ソ連邦(同盟)が解体した後に作られた現ロシア憲法は、どこの条項にも、「民族の自決」の規定がない。これは、ソ連邦憲法と比べて大きな後退だとして、ロシア憲法を承認していない共和国がある>そうです。

<正統マルクス主義>は、<自決していい民族と、そうではない民族とを、「歴史」によって厳しく選別・・・。残るべき言語と、統合されて消えるべき言語>を選別したそうですが、<スターリンは、一度も、そのようなしかたで、すぐれた言語と、貧弱な言語という区別をしなかった>そうです。

<マルクス主義者の周知の定式>は、<現在のロシア、ウクライナ、ペルロシア、その他の文化が、内容においては社会主義的な、形式においては、つまり言語においては民族的な文化である>・・・。ソビエト連邦崩壊後、ウクライナは、独自の言語、独自の民族、独自の領土、独自の文化と歴史をもつ独立国家として存在するようになりますが、ロシア大統領プーチンは、ウクライナ民族の独立国家を認めず、その領土をロシアに併合し、ウクライナの言語と歴史と文化、政治・経済・外交を否定、占領下においたウクライナの人々にロシア語を強制している・・・。スターリンの所属する民族はグルジア(今のジョージア)であり、その母語はグルジア語だったそうです。<ロシア語は、スターリンにとって、いわば外国語>であったそうです。ウクライナもジョージアも、ロシア大統領プーチンにとっては、民族国家であることを否定され、現在のロシアに隷属・統合し得る存在なのかもしれません。

スターリンが生きていたとしたら、スターリンは、プーチンのウクライナ侵略戦争に対して激怒したに違いありません。

無学歴・無資格、学問とは無縁の筆者、哲学はすきでも、思想は好きではありません。マルクス主義については、まったくの門外漢なので、田中克彦著『「スターリン言語学」精読』の中で描かれているスターリン像が真実かどうかは判定する材料をもちあわせていません。しかし、田中克彦著『「スターリン言語学」精読』を読む限りにおいて、ロシア大統領プーチンは、かってのスターリンとは似ても似つかぬ存在であるようです。ロシア大統領プーチンは、ヒトラー顔負けの独裁者であり、ナチスの再来そのもの、スターリンとはまったく真逆の対極的存在であるようです。

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