2022/09/21

この道はいつか来た道・・・

昨夜読んだ『アーレント=ヤスパース往復書簡』の1956年11月5日以降の、ふたりの哲学者アーレントとヤスパースの書簡の言葉・・・。

アーレント:戦後世界に危なっかしいながらも築きあげられたものが、すべてがらがらと崩れてしまった・・・。宣戦なしに、(ロシアが)婉曲に戦闘行為と呼ばれるものがはじまった・・・。

ヤスパース:ロシアはすぐにも戦争を望んでいるのか、そうでないのか。・・・(ロシアは)最高度に軍備を強化しつつ、同時に多国を欺いて、内輪喧嘩をさせようという、巧妙なカモフラージュ戦法なのだろうか、それとも・・・いざというときのために可能なかぎり自分の陣地を強化しておいて、いっそうの有利さをかかちとる手段にしようということなのか・・・。絶えまない軍備増強・・・それはとくに農民の搾取によっておこなわれ・・・この陸軍をもってすれば、原爆を使わずともヨーロッパをいつでも手中にできる・・・。一国の国民(ハンガリー)が今日なおあれほどのことをなしえようとは、思いもよらなかった。ただ見ているしかないというのは、おそろしいことです。ハンガリーをたすけるには軍事支援しかないでしょうが、それではほぼ確実に世界大戦になってしまう。だからそれはできない。・・・小国は、自分の欲しない世界大戦の口実にされるだけで、原因になることはありえない・・・。・・・西洋世界には、真実を見、そして犠牲を・・・厭わず払おうとするある種の高揚がある・・・ヨーロッパのすべての国が、何万ものハンガリー人を受け入れようとしている・・・。

アーレント:ロシアは私が期待まじりに推測したよりもはるかに大きな困難をかかえているようですね。事件全体がロシアにとってとんでもない結果に終わりそうな気配です。・・・ハンガリーでは、ここ久しく例のなかったすばらしい出来事が起きています。まだ終わっていませんが、どのようなかたちで終息へ向かうにしても、これはじつにはっきりとした自由の勝利だと私には思えます。・・・ちょっと心配なのは、お宅の暖房が石油にたよっているということです。でもその後、さらに悪い事態は起きてないようですから、まさか凍えてはいらっしゃらないでしょうね。

ヤスパース:ロシアの指導部・・・ますます出口なしの状況になるばかり、しかし、その手には、人民の搾取で命をつないでいる強力な軍事機構を無疵のまま握っている。・・・世界史を舞台にでかいことをしたいという一将軍の冒険心(プーチンの野心)から、どういうことが起きるのか、どちらも予測不可能です。いずれにしても依然として大きいのは、地獄の劫火への不安とまではいかずとも、少なくとも水爆への不安です。

アーレント:今の合衆国の外交政策は恥ずかしいほどお粗末です。・・・アイゼンハワー・ドクトリンはひじょうに危険です。・・・われわれが介入するのはロシアが(アメリカ)を直接に攻撃をしかけてきたときだけだ、(ロシアとハンガリー)おまえたちどうしでとっくみあっているときは知るものか、ということなのです。これでは、(ロシアに、対ハンガリー侵略戦争の)攻撃の免許状を与えたも同然。・・・

それから66年後の2022年の、ロシアによるウクライナ侵略戦争が、66年前と同じような歴史状況、政治・経済・外交・軍事状況のなかで勃発しようとは・・・! 上記アーレントとヤスパースの書簡の言葉の<ハンガリー>を<ウクライナ>に置き換えれば、そっくりそのまま通用するような今回のロシア大統領・プーチンの戦争・・・。プーチン3歳のときに起きたロシアの対ハンガリー侵略戦争など、学ぶこともなければ、記憶にとどめることもなかったのでしょう。66年前のロシアの轍を2022年において踏んでいる・・・!アナクロニズム(時代錯誤)の典型・・・!

インドのモディ首相は、9月16日のウズベキスタン会談で、ロシア大統領プーチンに、「今は戦争の時代ではない」といさめたとか・・・。そこにあったのは、父親から叱られていいわけをする気のちいさな、お山の大将を気取る息子の姿・・・。

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