2022/09/28

部落は海である・・・

今朝、目が覚めたあと、いつもの健康管理と『英訳聖書』(NSRV)の通読をしましたが、そのあと、ジャーナリスト・山岸嵩氏の<日本的差別構造へのアプローチ きりかえしの被差別者像>を読んでいました。

その文章の最後の言葉は、<部落は海である>・・・。<部落は海である>という言葉を何度も心の中で繰り返していると、その言葉、次第に筆者のこころのなかに深く沈んできて、その通りだと思うようになりました。

海は、いのちの源と言われていますが、山岸嵩氏は、<部落、そこは自由と生存を求める海でもあった>といいます。部落という海の中で、被差別部落の人々は、自由と生存を求めて息づいている・・・。あるがままに生きていいんだよという生存に対する限りない肯定と、その中で、被差別部落民として生き続ける自由を謳歌する場としての、海としての部落・・・。

<被差別部落はいつの時代にももっとも差別されたものを引き受けさせられてもきたのだ>と主張する山岸嵩氏・・・。<今日、競争社会は日々に新しいアウトローを生んでいる。この意味では「被差別部落」は現代さらに拡大しているといえよう>といいます。その中で、差別にあがらい、自由と存在を追及する人々は、かれらが子々孫々受け継いできた<潜力を発見>し、<醜から美への逆転力>を養い蓄積している・・・。<醜から美へ>だけでなく、<賤から貴へ>、<卑から尊へ>、<偽から真へ>、<死から生へ>、<孤立から共闘へ>、<絶望から希望へ>、<諦めから闘いへ>、被差別部落の人々が持つ<潜力>は、いつか、新しい時代を招きよせることになるでしょう。

元部落解放同盟山口県連新南陽支部の部落史研究会のブログ『ジゲ戦記』にこのような言葉がありました。<現在、私の住む被差別部落では昔からの住民は地区内95世帯の内16世帯余りしかいない。それも独居と老人世帯ばかりで早晩いなくなる。それでも、ここは被差別民の幽霊が住む地としていじめられるのだろうか>。16世帯の被差別部落の人々は、79世帯の高齢者や生活保護世帯を行政から押し付けられて、共に住んでいる・・・。<被差別部落はいつの時代にももっとも差別されたものを引き受けさせられてもきたのだ>というジャーナリスト・山岸嵩氏の言葉の通り・・・。

部落史研究会の方は、<ここは被差別民の幽霊が住む地としていじめられるのだろうか>と危惧されていますが、その被差別部落を生きるものの源としての<海>として、<自由と存在を求める>、<切り返し>のできる<被差別者>であることを信じています。

山岸嵩氏いわく、<民族、人種、階級、身分、能力などの違いをこえて「反差別」として共通するものはたしかにある。運動として互いに連関しあってもきた、共有する敵を近代資本主義にみすえて。しかし「社会主義」の夢日々にあせつつある今日、彼我の関係はやぶれた。考えてみれば、夢ややぶれるべくしてやぶれるのであって、何かを犠牲にした「夢」は犠牲となるものがそれを拒もうと動き出した時、ほころびだしたのだ・・・>。

被差別からの解放は、山岸嵩氏の言う通り、被差別部落の人々が<自分たち自身の手で自分たちをえがく運動>からしか生まれない・・・。真の部落解放運動は、被差別部落の人々の痛み、苦しみ、悲しみという悲哀の<身に沁みたところから生まれる>、<切り返し>としての<存在と自由>への限りなき希求によってもたらされる・・・。

元部落解放同盟新南陽支部の学習会に参加させてもらっていたとき、被差別部落の人々の自由な語らいに耳を傾けることができました。筆者、ワープロ速記の方法で、その学習会の内容を書き下ろして冊子にしたことがありますが、その中で、海の近くにあるその被差別部落の人々が、潮が引いたあとの砂州で、上流から流れてきた小石、砂利を集めて、近くの工場にもっていって、建築資材として買ってもらったという話を聞いたことがあります。石ころひとつひとつを集めてかごに詰めていく・・・。最初は、簡単に拾い上げることができる小石でも、集めれば集めるほど、かごは重くなって、身動きとれなくなってしまう。その話を笑顔で話し合う、被差別部落のおじさん、おばさんの姿を見て、被差別部落の人々に対する差別意識が大きく瓦解していった経験があります。今は、小石をひろうことを業としている被差別部落の人々はいないと思いますが、その被差別部落の部落史研究会の方々は、その被差別部落に住むことを押し付けられたあらたな人々と、部落差別完全解消への小石をひろい続けていると、筆者は確信しています。

部落は、希望の海でもあります。


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