『世界食糧戦』の著者・布浦芳郎は、筆者が日本基督教団西中国教区の山口のちいさな教会の牧師をしていたとき、その教会の書記担当役員で、徳山市議会事務局に勤務されていた Kimura 兄のおじさんにあたるひと・・・。
2013年4月1日に、日本基督教団の隠退牧師になり、妻のふるさと・湖南に帰郷・帰農することを決めましたが、もちろん、教会役員会で時間をかけて話合い、了解をとった上での決定でしたが、そのとき、妻のふるさと・湖南で、どのような農業をするのか、イメージつくりのために集めた農書の中に、布浦芳郎著『世界食糧戦』がありました。それを、Kimura 兄に見せたところ、<布浦芳郎は、わたしのおじさんだ!>と驚いておられました。筆者、偶然に、インターネットの日本の古本屋経由で、Kimura 兄のおじさんの書いた本を入手していたわけです。
よく、日本では、食料自給率の低さが問題にされますが、食料自給率が高く100%になると問題はなくなるのか、といいますと、この布浦芳郎著『世界食糧戦』を読む限り、疑問符が点灯します。この本が出版された昭和19年時点の日本の食料自給率は100%・・・。自給率が100%を超えるのは、アメリカ、ソ連、そして日本・・・! <苛烈なる世界戦局の中で我が日本に於いては未だ一人の餓死者も見ないことは、誠に有難く幸福なことと考えねばならない>とありますが、その1年後、昭和20年に、日本がどのような状況に追い込まれていったのか・・・。筆者は、Kimura兄に、<常>の時だけでなく、<非・常>のときにも継続できる農業、百姓暮らしを指向したいと話したことがあります。筆者と妻の、有機・無農薬栽培による自給自足の百姓暮らしの背景にある本です。
この本の中に、第二次世界大戦下のウクライナに関する記事も掲載されていました。<赤軍はウクライナ撤退に当たり、焦土戦術に出て耕地の70乃至80%を耕作していたトラクターや輸送トラック、労役用家畜、機械器具等を破壊し或ひは持ち去った外、工場といふ工場は全部破壊してしまった・・・>。
今回のロシアによるウクライナ侵略戦争は、もしかしたら、ウクライナがロシアより経済大国になり、西欧諸国に列することを指向したことで、ロシアは、その流れをもうとめることができないと自覚して、ウクライナが西欧諸国に益することがないように、第二次世界大戦のときのように、徹底的な焦土作戦を遂行しようとしたのではないかと思わされました。マリウポリ製鉄所に対する徹底的な爆撃による破壊行為、ウクライナの農村から大型農業機械や小麦を略奪、ロシアに持ち出したり、ウクライナ国民に対する無差別の攻撃など、ウクライナ<焦土作戦>以外の何ものでもない・・・!ロシアのウクライナに対する永遠の決別のための<焦土作戦>・・・。第二次世界大戦のときと違うのは、ウクライナに対して<焦土作戦>を実施したロシアみずからも<焦土作戦>のあおりをくってロシア崩壊につながる可能性がロシアのウクライナ侵略戦争に内包されていたということ・・・。
2022/05/23
布浦芳郎著『世界食糧戦』をひもとく・・・
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