かって、部落差別問題から、それまで部落差別問題・部落史研究・同和教育に従事していた学者・研究者・教育者・運動家が<大脱走>する時代がありました。
国と地方行政による<同和対策事業>が終結し、そのために国や地方行政から補助金として配布されていたいっさいの資金が学者・研究者・教育者・運動家の手に入らなくなったためです。 それまで、差別されても物言えぬ被差別部落の人々に代わって部落解放運動をしてきた日本の知識階級・中産階級に属する歴史学者・社会学者・教育学者は、われこぞって、部落解放の戦いの前線から脱走、それまでの持ち場を放棄して行ったのでした。
私がインターネットのブログ上で『部落学序説』の執筆の計画を立てていたころ、時代の先を読むことに優れた人々、新聞記者やそのほかのマスコミの方々は、<吉田さんも、『部落学序説』を執筆したら、すぐこの問題から離れたほうがいい・・・>と、その<大脱走>に加わることをすすめていました。
Albert Memmiは、<〇〇は他のすべての市民と同様に、去る権利も残る権利も持っています。 他の人々が去るからといって、残る者を非難する権利は誰にもありません。 ・・・われわれの新しい尊厳は、われわれが冷静に、次のように言うことを要求しています。 去ろうと思う者は去るがよい。 残ろうとする者は残るがいい、自分達の連帯を確かめたいと思う者は確かめるがよい。 また、自分がもはや〇〇であることを望まぬ者は、恥じることなくそれを言い、またそれが可能なら、そのように行動するがいい。・・・〇〇のままでいること、自由な存在として〇〇のままでいることを願うなら、それが現在まだ可能な唯一の道なのです。 それを認めないとすれば、それは盲目(ママ)か分析不足のどちらかです。 他の点ではすぐれた精神の持ち主でもその危険にはまることがあります。 被抑圧者にとって大事なのは自分の人生を自分の手に取り戻すことである・・・、そのためには、行動に踏み切る前に、現在にまで至った自分の姿と、他人の中での自分の正確な位置とをまず自覚することからはじめることです。 明晰と勇気はそれだけですでによみがえる健康の兆候です。・・・大事なのは誤った解決を次第に除外してゆき、正しい進路を保つことです。 誰であれ・・・>。
人生は、往々にして、現実から逃亡することより、現実に踏みとどまり戦い続けることのほうが大切な場合多い。
2023/09/21
かって、部落差別問題から大脱走する時代があった・・・
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