2023/09/19

職人のなかにみる信仰者のあるべき生き方・・・

    岡山出身の基督者・江原萬里の『江原萬里全集 第二巻』に<内村鑑三先生の追憶>という、70歳にして世を去った師・内村鑑三に対して江原萬里が綴った追悼の長~い言葉があります。

    その中に、内村鑑三が三浦半島に遊びに行ったとき、<一人の桶職人が余念なく其の業を励むを見て作れる『桶職』の詩>が掲載されていました。 江原萬里は、その<詩は先生の心事を語るもの>と評しています。

    1. 我は唯桶を作る事を知る、
           其他の事は知らない、
           政治を知らない、宗教を知らない、
           唯善き桶を作る事を知る。

    2. 我は我桶を売らんとて外に行かない、
           人は我桶を買はんとて我許に来る、
           我は人の我に就いて知らんことを求めない、
           我は唯家にありて強き桶を作る。

    3. 月は満ちて又かける、
           歳は去りてまた来る、
           世は変わり行くも我は変わらない、
        
   我は家にありて良き桶を作る。


    4. 我は政治の故を以て人と争はない、
           我宗教を人に強ひんと為ない、
           我は唯良き強き桶を作りて、
           独り立て安泰である。

    一桶職人の心をもっておのが心となす内村鑑三・・・。 江原萬里は、<若し人あり、私に問ふに先生の如何なる人物であったかを以てするならば、私は何の躊躇することなく、彼は第一に真実の人・・・であったと答へ度い。>と記しています。 世に、真理・真実ほど大切なものはない・・・。

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