2024/02/11

介護の不思議・・・

    誰でも歳をとり、いつか高齢者になります. 

    "介護" が必要になるときを迎えます. これまでの私の経験では, 介護される機会が多い人ほど, 自分の受けている介護に不満を感じます. 

    日本基督教団西中国教区の山口のちいさな教会の牧師をしているとき, 高齢の信徒の方々には, 1週間1度家庭訪問して, 半日, 彼らの語る言葉に耳を傾けてきました. そのとき, お茶を入れてくれますが, そのお茶の香りと味は, それを入れてくれる高齢の信徒の方の個性がにじみ出てきます. 隠退牧師になった後も, "ああ、このお茶はA姉のいれてくれたお茶と同じ・・・" と感じてなつかしくなることがあります. お茶をいれる器を白湯で温めますが, その温度と時間も人それぞれなので, 右手に関節障害がある私の右手は敏感にそのことを区別することができるのです. 私は, 高齢の信徒の兄・姉から, 老後の生き方を多々学びました. 

    "介護" される日は, 突然とやってくるのではありません. その前に, 長い, 長~い, "自己介護" のときがあるのです. ある姉は, "いつも紙おむつをつけて暮らしている" と言います. "牧師さんが家庭訪問してくださるときは, 朝から部屋の介護臭を消しているのですが, 大丈夫ですか?" と問いかけて来られる姉もいました. 私は, 若いとき, 病院で臨床病理検査に従事していましたので, 検尿・検便は日常茶飯事の話し・・・. その匂いで, 健康か病気かを嗅ぎ分けることができますので, それ以上に気になることはありません. 高齢の信徒の兄・姉から, 老後の生き方について, いろいろ教えていただきました. "自己介護" の方法も・・・. 

    2013年4月1日に, 日本基督教団の隠退牧師になり, 妻のふるさと・湖南の赤津村に帰郷・帰農した歳, 認知症の, 妻の実家のおかあさんを介護することになりましたが, 介護臭の除去は, 山口の小さな教会の信徒の高齢の姉から教えていただいた方法を使って, ほとんど瞬時に消臭することができました. 化学薬品を使った消臭剤は, アレルギー体質の私には使用に堪え得ませんので・・・.  

   "介護" は不思議な側面があります. これまでの私の経験では, 介護される機会に恵まれているひとほど, 自分が受けている介護に不満を感じるということです. 介護される機会に恵まれていない人は, "自己介護" につとめ, できるかぎり他者に依存しない老後の生き方をまっとうしようとします. 介護されればされるほど, 介護される人は不満に包まれ, 介護されることが少ない人ほど, "自己介護" につとめ, 介護される欲求をもつこともなければ、介護されないことに不満を持つこともありません. 大切なのは、他者依存の被介護の老後ではなく, 自立精神にとんだ自己介護の老後を設計し, 準備し, 実践することです.  

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