2024/02/22

誰と何時, 何処で, どの様に出会うのか・・・

    誰と何時, 何処で, どの様に出会うのか・・・. 

    その出会いによって, 出会った人々に対するものの味方, 考え方が異なってきます. 十人十色と言われますが, 金子武雄著 "日本のことわざ" の中にこのような説明があります. 

    "十人十色

    '十人寄れば十色' ともいう. これがもとの形であろう. '色' は 'いろいろ' の 'いろ' であり, 品とか種類の意である. したがって十人十色とは人間が住人寄れば, それぞれ一人一人異なるものである, という意である. しかし, ここで異なるというのは, 容貌や姿態について言っているのではなく, 思想, 性格, 趣味, 嗜好, 精神的なものについて言っているのである. 正にその通りで, 同じ人間というものは決して二人とない. ・・・単純に考えて一様に取り扱おうとしても, 決して思うようにはいかないことが多いので, 人間というものは, 一人一人それぞれ違うものであることを痛感した結果にちがいない. こうしたことは個性の発達して社会ほど著しい. 子のことわざは, 人間が人間の個性の著しい発達に, 自分でつくづく驚いて吐いた言葉のように思われるのである. ''

    "原田伴彦論集第4巻・部落差別史研究" の中で, "げんざいわが国には, 6000部落300万人と称されるいわゆる未解放部落が存在している." (1956) とありますが, 彼の歴史研究者としての認識では, 未解放部落の人々は300万にいる・・・.1956年当時の日本人口は90,172,000人ですから, 未解放部落の人は全人口の3.3%・・・. 1980年の日本の人口は 117,060,000ですから, その人口の3.3%を未解放部落の人として算出すると, 未解放部落の人は386万人・・・. 

    日本基督教団西中国教区の山口の小さな教会の牧師をしていたとき, 教区総会で, 西中国教区の部落差別問題特別委員会の委員を押し付けられ, 山口県に在住している間30年間, 山口の被差別部落の人々と交流してきたのですが, 出会った被差別部落の人々, 聞き取りをすることができた人々は, 38~39人程度・・・. つまり, 私が出会って対話をしたことがある被差別部落の人々は, 100,000人のうちの1人・・・. 38~39人の中には, 日本基督教団の被差別部落出身を名乗る牧師・信徒の方々は含まれていません. 彼らが語るのは, 彼らが依拠している左翼主義思想の解放理論・解放運動用語で綴られたステレオパターンの話しでしかありませんから・・・. 

    私が読んだことがある部落史研究に関する論文集・研究書で, 京都部落史研究所編 "部落史研究文献目録" に掲載されている約20,000文献の中の50文献0.25%に過ぎません. 

    私のブログ "部落学序説" は, そのような限定的な, 山口の被差別部落の人々や, 山口県立図書館・徳山市立中央図書館郷土資料室・部落解放同盟新南陽支部書記長の蔵書との出会いの中で, 被差別部落の人々の語る言葉に耳を傾け, それを史資料で確認した結果をまとめたものです.  

    同和教育や解放教育などのステレオタイプの部落史研究や教育に取り組んできた人々, 左翼主義思想の解放理論や解放運動に抵触する論説や交流は一切認めない, 断固粉砕すると固く信じている人々からは, 私が出会った被差別部落の人々との出会いや, 私が読んだ部落史関連史資料は, とりあげるにたらないことがらかもしれません. しかし, 日本基督教団の牧師 (隠退牧師も牧師) である私は, 私がであった山口の被差別部落の人々との "出会い",  山口の図書館でであった文献との "出会い" を大切にします. 牧師の職務は, "語ること" (説教) と"聞くこと" (牧会) が中心ですが, その職務遂行のなかで出会った被差別部落の人々との出会い, 彼らからの語る先祖の歴史に耳を傾けることになりました. 私たちは, 誰と何時, 何処で, どの様に出会うのか・・・, 自分で決めることは出来ません. "出会い" は, すべて主なる神さまから与えられたものです

    山口県北の被差別部落の古老は, "わたしたちに遠慮することはありません. あなたが調べて, 正しいと思ったことは, 思いのままに書きなさい. あなたが, わたしたちを差別するようなひとではないことは十分わかっていますから・・・" と私に語りかけて来られましたが, 私は, 彼らとの出会い, 彼らの背後にある歴史資料との出会いを闇に葬り去ることはできません

    日本の社会から部落差別をなくするためには, 左翼主義思想のイデオロギーに基づく, 被差別部落の人々の先祖を "賤民" として歴史的評価を下し, それに基づいて現在の解放運動を理論づけ根拠づけ, 彼らのイデオロギーを国民の間の一般説・通説にするべく同和教育・人権教育をすることではなく, それぞれの生きている場所で, 被差別部落の人々に出会い, その古老たちの語る言葉に耳を傾け, 若い人々と, 被差別部落の人々を "差別の鉄鎖" につなぎとめてきた差別思想 "賤民史観" から自らを解放するための方策を論じていくことにあるのではないかと思います. 被差別部落の人々との, 固定観念やイデオロギー抜きでの出会いが否定・黙殺されるところでは, 真の部落解放は成立しません. 

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