2024/05/31

なぜ, Albert Memmiの反差別主義は日本で受け入れられなかったのか・・・

    今日の午前中はずっと小雨が降り続いています. 

    それで, 私は, Albert Memmiの著作を読んでいましたが, Albert Memmi は, ユダヤ人差別 (人種差別) だけでなく, 差別一般に対して反差別主義の理論を展開しています. 被差別に関する分析と, 被差別に置かれたものが差別から自らを解放していくための数多くの提言をしています. 日本の部落差別問題の認識と解決についても有効な提案を含んでいます. そして, Albert Memmiの著作の多くは日本語に訳され, 誰でも読むことができるのですが, なぜか, Albert Memmiの反差別主義は日本で受け入れられていないようです. 日本基督教団西中国教区の山口の小さな教会の牧師をしていたとき, 西中国教区部落差別問題特別委員会の委員として, 山口の未指定地区の被差別部落の古老に聞き取りをしたり、部落解放同盟新南陽支部の学習会に参加したり, 部落解放同盟山口県連の地区実態調査に参加したり, 解放社会学会の学者・研究者・教育者と交流の時を持ったりしたのですが, Albert Memmi の反差別主義との出会いはありませんでした. 私が最初に読んだ Albert Memmiの "差別の構造" を読んだのは, 2023年9月のことですから, Albert Memmiの反差別主義に出会ってまだ1年も経っていません. 

    しかし, "部落学序説" の執筆者である私にとって, Albert Memmiの反差別主義は, 私と親和性のあるものの見方, 考え方でした. Albert Memmiの視点・視角・視座は, 私の視点・視角・視座と極めて類似したところがあります. なぜ, 日本の社会の中で, Albert Memmiの反差別主義が受け入れられなかったのか, なにとなく分かったような気がします. 日本の部落史研究者, 社会学者が, Albert Memmiの反差別主義が日本の社会に浸透して, それが被差別部落の人々の反差別闘争・解放運動の論理と力になることを防ぐために防波堤の役割を担っていたからでしょう. 戦前・戦後の左翼主義思想に抵触するようなAlbert Memmiの反差別主義を認めることは彼らの自己否定にもつながり, 許容することができなかったのでしょう. 

    Albert Memmi 曰く, "どんな屈辱的な状況にある<被差別者>の場合でも, 自分を<差別する者>に似たいという欲求は, 激しくもまた恥ずかしい, 二重の意味をもった願いである. これは正当な欲望である. なぜなら<差別された者>は, 多くの場合, その困難な状況から抜け出すには, <自分を差別する者>と一体化しなければならないからだ. だが, この一体化はある意味では<被差別部落同胞>に対する裏切りだから, それは破廉恥な欲望である・・・".  "脱部落" が絶対的な真理であることが是認される日本の社会にあっては, Albert Memmi の指摘は耳が痛いことでしょう. Albert Memmi は, "<被差別者>として隔てられた私の存在というこの事実からまず出発しようと私は決心した" といいます. 

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