妻は、筆者が日本基督教団西中国教区の山口のちいさな教会の牧師をしていたとき、教会の駐車場跡地のバラスを敷き詰めた庭を、教会員のおばあさんと3人で開墾して、庭木を植えたり、果樹を植えたり、ぶどう棚をつくったり、ミニ菜園で有機・無農薬栽培で麦や野菜を栽培したりしていましたが、教会の庭は、いつのまにか、町中のちいさな森になり、渡り鳥のルートの下にある教会の庭には、いろいろな野鳥がやってくることになりました。居ながらにして、教会の庭で、いろいろな野鳥を観察することができました。ジョウビタキ、ルリビタアキ、モズ、ウグイス、ホトトギス、ブッポウソウ、ペリカン・・・。山口にいたときは、野鳥はとても身近な存在でしたが、妻のふるさと・湖南に帰郷・帰農してからは、野鳥とのふれあいは、少なくなりました。野鳥が視野の中に入ってくることがほとんどなく、棚田や段々畑で聞く野鳥の鳴き声から、なんの野鳥なのかを、野鳥の鳴き声図鑑で確認することしかできません。
しかし、妻の実家の庭の西の角に植えている大きな梅の木の枝には、いろいろな小鳥がやってきます。今朝、やってきて、梅の木の枝のてっぺんで大きな声で鳴いていたのは、<ほおあか>・・・。<ほおじろ>ではなく<ほおあか>・・・。野鳥の鳴き声図鑑をみながら、妻は、<ほおあかなんている小鳥がいるのね。>と驚いていました。筆者、デジカメを持ち出して写真を撮ろうとしたのですが、窓を開けるとすぐ、梅の木の下に逃げてしまいました。
年老いて増えていくものに、それまで知らないことを知るよろこびがあります。<よそもん>の筆者と妻、<ここらのもん>との交流はほとんどありません。名前を聞いても、<おらの名前を知らねえのか?そのうちわかる!>と、名前を教えてくださらない方がほとんどで、筆者と妻は、帰郷・帰農してすぐ、湖南の農家に名前を聞くことをやめてしまいました。それで、どうなったのかといいますと、名前を知らないひとはいまでも知らないまま・・・。
しかし、妻の実家の棚田や段々畑でであう、小鳥や、草花や、昆虫、カエルなどの田の生き物は、すこしずつ名前がわかり、その名前とが結びついたとき、観察と対話がはじまります。コメと野菜の有機・無農薬栽培も、毎年、気候が変化しますので、毎年、初心者に立ち戻って、あらたに学びなおし、試行錯誤する必要があります。田舎での暮らしは、人との接触が希薄になる反面、自然との接触が増えてきます。そのために必要なのは、よみ見える目、よく聞こえる耳、触って識別できる指、栽培したものを嗅いで味わうことができる鼻と舌、そして、新しいことを常に受け入れていくことができる知能と頭、自然に対する畏敬と、天地と人との創造者である、主なる神さまに対する信仰と、聖書通読と祈り・・・。
2022/09/01
年老いて増える、知らないことを知る喜び・・・
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