『佐竹昭広集』(全5巻)の著者・佐竹昭広は、国文学者であると同時に言語学者・・・。
<古典の内部世界というものが、自分の読み方ひとつでがらりと変わってしまう。おそろしい世界であることを体験的に教えてくれた事例であった。読み方ひとつで世界ががらりと変わってしまうのは、もちろん漢字の訓読だけではない。・・・表音文字の羅列も、読み方次第で、別の言葉、別の意味に一変することがある>(『萬葉集抜書』)。
因果・愛・意識・自由・・・などの<明治期の漢語>と同じく、近世以前に中国で使われていた<部落>という概念に<新しく西欧的な意味が持ち込まれた>結果、<部落>という漢語は、日本の法律用語・行政用語に変身させられてしまった。しかし、左翼思想の学者・研究者・教育者たちは、その<部落>という概念の近代性をはぎとって、<部落>に東洋的な古き時代の差別的な意味を持ち込んで、<いわば力ずくで押しつけられた外発的な意味「付与」>を行った・・・。
<時代とともに移り変わってきた>、この<部落>概念は、<その言葉との関係において生きてきた人間の「こころ」の歴史が刻み込まれている。日本人の言葉の「こころ」の歴史を、日本人の「こころ」の歴史として問いかけてゆくこと、われわれはまだ十分にこれを果たしていない>。
<部落>という言葉も、<読み方ひとつでがらりと変わってしまう>・・・!
2022/11/20
読み方ひとつで世界ががらりと変わってしまう・・・
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