2022/11/17

大阪市学校事務職員(府費)採用試験を受けたとき・・・

高校3年の3学期、1月に入って、地方公務員をしていた、筆者の父が、脳こうそくで倒れました。再起不能と診断されていました。筆者は大学進学、妹は高校進学を断念して、父の看病と家計を支えることになりました。

そのころも就職難の時代で、地元には適当な職が見つからず、筆者、高校の担任に勧められるまま、大阪市立学校事務職員(府費)採用試験を受けて、1年後、大阪の大学の2部を受験することになりました。

その採用試験の当日・・・、某中学校の校庭には、数百名近い受験者が押しかけ、試験を前に、みんな試験勉強をしていました。なにとなく、異様な熱気に包まれていましたが、筆者は、その中に入っていくことができず、人がまばらな校庭の端で、彼らのことをながめていました。

すると、近くにいた人が、筆者に話しかけてきました。<きみは、他の人のように受験勉強をしないのか?> そのとき、筆者、<いままで、大学受験のために一生懸命勉強してきましたから・・・>と答えたのですが、筆者よりはるかに年配の方は、<きみは、どこの大学を受けるつもりだったのか?>と問いかけてきます。筆者は、正直に、<京都大学の哲学科です。でも、地方公務員をしていた父が脳梗塞で倒れ、再起不能になり、大学進学を断念せざるをえませんでした>と答えました。すると、その年配の方、<そうか、私は、大阪大学に合格した次の日に、親父が倒れ、大学進学を断念して、父の看病と家計をささえなければならなくなり、収入のいい、神戸の沖仲仕をしてた・・・。10年後あらためて、大学で勉学しようと思ったけれど、学力が低下、大阪の偏差値の低い私立大学しか合格できなかった・・・>と筆者に語り掛けてきました。

その話のなかに、もうひとりの筆者と同年代の方が、加わってきました。<私は、大阪府立大学に合格したのだけれど、親父が阪大でないと学費は出せないといって進学させてくれなかったので、自分で働いて学費を稼いで、もう一度大阪府立大学を受験することにした>。

そして、そのあとも、校庭の端に立って、一生懸命受験勉強をしている受験者の姿をながめていた人たちが、なぜ、大阪市学校事務職員(府費)採用試験を受けることにしたのか、その動機を話していました。7~8人・・・。

その試験に合格したのは、20名・・・。最初の初任者研修のときに、なんと、その7~8人全員の姿を目にすることになりました。大阪大学に合格した次の日、父親が倒れて家を支えなければならなかった年配の方、受験当日、<君も私と同じように苦労するかもしれない。自由になって大学で勉学できるのに10年かかるかもしれない。君に教えてあげよう。10年間、今の学力を維持する方法を・・・。>といって、学力維持、大学受験必勝のための<独学法>を教えてくださいました。合格したひとのなかには、日教組の幹部のむすめさんもいました。筆者と同学年でしたが、そのむすめさん、<この子は、岡山の田舎から出てきたの。よろしくね。>といろいろな人を紹介してくれました。

そのときの経験は、筆者にとっては、かけがえのない経験になりました。大阪市立学校事務職員(府費)になったとき、最初の任地は、大阪市のなかの田舎にあるといわれていた、大阪市立瓜破中学校でした。勤務初日、校長が筆者に話しかけて来られました。<君は、自分の学力をどう思っているのか?> 筆者、<普通です。>と答えました。すると、その校長先生は、<今日の君の仕事は、この中学校の学籍簿全部に目を通すこと・・・>といって、筆者に瓜破中学校の全校生徒の成績や調査書の内容を閲覧するように指示を出しました。学籍簿をみながら、筆者の目にとまったのは、ほとんどの生徒が5段階評価の3であること、4と5の成績は、特定の生徒が集中的に持っていること、1と2の成績も同じ・・・。そのとき、筆者は、はじめて、生徒全体の中の筆者の成績の位置を知ることになりました。学籍簿に全部に目を通したとき、校長先生が筆者に語り掛けて来られました。<研修が終わったら、君を大阪市立十三中学校に配属することにするから、関西大学二部に通って教師免許をとりなさい。教師免許をとったら、即、大阪市立中学校の教師として採用しますから・・・>。

筆者は、大学進学も、教員になる夢も実現するにいたりませんでしたが、神学校を出て、日本基督教団の牧師になり、副業で、10年間、山口県東部高等産業技術学校で情報処理教育や、山口県東部女性就業センター資格取得講座の講師をしたり、山口県立田布施農業高校大島分校や久賀高校、徳山高校・岩国高校・岩国工業高校で、3年間勤務することができました。バブルがはじけて、大学を卒業しても就職ができない時代に、筆者、九州大学・広島大学・山口大学・大阪教育大学・大阪外国語大学の新卒の方々に、情報処理技術を指導することができました。彼らが筆者に話しかけてきたのは、<こんな講義、はじめて受けました。吉田先生は、生徒を選別したり、依怙贔屓したりしないで、クラス全員の実力を発揮させることができる教師なんですね。>

今日の夕方、インターネットで、<無学歴・無資格>で検索してみましたが、なんとおびただしい情報があふれていました。しかし、<無学歴・無資格>に関するインターネットの情報は、どれもこれも、筆者とは、ほとんど関係のない情報ばかりでした。

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