2022/12/22

無神経な学校教師の一言・・・

岸衛・桜井厚著『差別の境界をゆく 生活世界のエスノグラフィー』の中にこのようなことが書かれていました。

<高校に行ったFさんは、自分からはあえて言わないが、聞かれたり、「ここは大切や思うた時には自分を語る」ようになっていった。いつしかいろんな集まりでも話すようになった。「みんなに差別をなくすように考えてもらいたい。自分も差別を考えることで、自分の生き方を高められるようになった。そういう意味で、この問題を考えることは自分の趣味みたいなもんです」と話したとき、他の高校の先生から「こんな厳しい問題を趣味だというのは、間違っている」と言われて、それ以降、彼女は本当にわかってくれる人以外には、自分を語らなくなったという。しかし親に支えられながら、自分を見失うことなく生きてきた・・・>。

学校教師が教師であるがゆえに、なにげなく語る一言が、被差別部落の子供たちのこころをいかに傷つけることになるか・・・、上の例は、その一例でしょう。もし、<間違っている>と指摘した学校教師の部落差別に対する認識のあまさ、同和教育に対する独善・偽善を指摘する人があらわれたとしたら、その学校教師は、どう対応するのでしょうか・・・?<自分は、同和教育担当者として正しい主張をしている。それを問題視するのは、私に対する誹謗中傷だ。>と反撃することになるのでしょうか・・・。被差別部落出身であることを自分の課題として受け入れ、差別と闘って生きて行こうとするFさんの気持ちをそっちのけで、何ら配慮することなく・・・。

<人権教育をやりかけると、差別事件がいっぱい起こる>、同和教育担当の教師からも、その同和教育を受ける生徒からも・・・。Fさんのこころを傷つけた学校教師の言葉が問題にならなかったのは、学校教師にも<差別意識がある証拠>と受け止め、彼らをも同和教育の担い手にしたいと考える被差別部落の側からの配慮にすぎない・・・。

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