今朝、野矢茂樹著『哲学な日々 考えさせない時代に抗して』のページをめくっていたとき、こんな言葉が目に飛び込んできました。
<私は、老いに対してきたいするところがある。いまは、「生きていればなにかいいことがあるぞ」という楽観に促されて新鮮な生を享受しているが、老いはそれを次第に減衰させて行くだろう。俗に「枯れる」というやつである。老人が事件を起こしたり物議をかもしているのをニュースなどで見るにつけ、どうもそんなに簡単には枯れないらしいと思い始めているが、それでも基本的にはひおいては老いとともに枯れるだろう。枯れるというのはまさに生が新鮮さを失うことである。それは生の力の弱まりと同時に死を受け入れる態勢を整えることでもあるだろう。そうして、ゆっくりと、静かに、そうだなあ、90歳ぐらいで死ねたらいいなあと思っているのである。老人はそうして人生を見切り、人生への未練を断つ。つまり、枯れていく>。
妻の実家のおかあさんの死・・・、それを目の当たりにして、筆者が最初に思ったのは、老衰とは、ひとが枯れるように死んでいくこと>だと思わされました。東京大学大学院の哲学の教授である野矢茂樹の、<ゆっくりと、静かに、そうだなあ、90歳ぐらいで死ねたらいいなあと思っている>という、<枯れる>人生を、名もなき百姓である、妻の実家のおかあさんは、95歳まで生きて<枯れる人生」>をまっとうした・・・
2022/05/06
<枯れていく>老いと死・・・
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