山本崇記著『差別の社会理論における課題 ―A. メンミと I. ヤングの検討を通して―』に目を通しました。
A.メンミの反差別主義の主張は、日本の社会学においては傍流でしかないようです。 山本崇記氏の論文・・・。
<1980年代以降、日本における社会学的差別論は社会的権力に対して批判的な観点を徹底化していった。 具体的には、エスノメソドロジー/ライフストーリーなどが該当すると思われるが、本稿ではこれらの成果を評価しつつも、次のような課題があると論じたい。つまり、社会学的差別論は、(1)差別と社会構造の関係性を問う視点を欠落させていること、(2)差別の是正・解体を求める集合的実践の視点を欠落させていること、そして、(3)差別を生み出す構造・制度と対決・交渉する社会運動との関係性の原因であり結果でもある社会政策的論議を欠落させていることである・・・>
アルベール・メンミの<「差別」の家庭やメカニズムに対する視点>は、<社会的権力に対して批判的な観点を徹底化>する<日本における社会学的差別論>を論じる学者・研究者・教育者・運動家に内在する差別性<差別主義>への批判・検証を含むので、社会的差別を研究対象にしても自らの内に内在する<差別主義>に切り込むことができない<象牙の塔>の中に安住する日本の社会学者には、受容しがたい存在だったのかもしれません。
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