『賀川豊彦著作集』全巻が手元にありますが、現在書庫に格納しています。
いつでも閲覧できるように書庫から取り出して書棚に並べることにします。 ひまをみつけて、賀川豊彦の<社会的差別意識>としての<優性思想>が、賀川豊彦のなかでどのように形成されていったのか、その形成過程を確認するために、もう一度全巻を読み直すことにしています。
日本基督教団神奈川教区の牧師たちは、教区総会で、<神奈川教区の牧師たちは被差別部落の人に差別意識はもっていない>と発言していましたが、その差別意識は<個人的差別意識>のことだと思います。 賀川豊彦も、たぶんおなじような発言をしていたのではないかと思われます。 <私は部落の人間に対して差別意識はもっていません>と。
しかし、<差別意識>は<個人的差別意識>だけでなく<社会的差別意識>という側面があります。 時代と思想の潮流が差別的である場合、その<社会的差別意識>は、家庭教育・学校教育・社会教育・新聞テレビなどのマスメディアを通して無意識的・無自覚的に人々の脳裏に埋め込まれていきます。 <個人的差別意識>をもっていないと豪語する神奈川教区の牧師たちも<社会的差別意識>の強力な持ち主であったりします。
被差別部落の人に対して差別意識をもっていなかったとしても、身分差別・学歴差別・障害者差別・女性差別・職業差別・民族差別・アイヌ差別・沖縄差別・・など諸々の差別的体質の持ち主であったりします。 <学歴・資格をもっていない、どこのうまのほねかわからない、しかも、障害児を持ち、自らも障害者になったあなたのような牧師は、高学歴・高資格、由緒正しき知識階級・中産階級の人々ばかりが集まってできた神奈川教区の開拓伝道所の牧師としてはふさわしくない存在だ。 はやく、元日本基督教団の総幹事であり、東京神学大学初代学長・高倉徳太郎の息子である阿佐ヶ谷東教会の高倉徹牧師と交替すべきだ!>と伝道所内外の牧師信徒から<意見>されました。 <神奈川教区の牧師たちは被差別部落の人に差別意識はもっていない>と主張する神奈川教区の牧師たちの現実の姿でした。 個人的差別意識はもっていないと主張しても、いたるところで無自覚に身に着けた社会的差別意識が見え隠れしていました。 社会派牧師、福音派牧師を問わず、神奈川教区の牧師たちのなかに社会的差別意識は通底していました。
賀川豊彦の<個人的差別意識>だけでなく<社会的差別意識>がどのように形成されえいったのか、差別思想<優性思想>がどのように涵養されていったのか、その形成過程を検証するには十分すぎるほどの文書量を含む『賀川豊彦全集』です。
2023/09/05
賀川豊彦の社会的差別意識<優性思想>形成過程・・・
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