2022/11/13

哲学者ヤスパースと手の痛み・・・

昨夜、『アーレント=ヤスパース往復書簡』を読んでいたとき、こんな記事がありました。

<親愛なハンナ!
ほんのひとことだけ、ヒヤシンスとチョコレートによる誕生日へのうれしい挨拶にお礼を!私の手は、数週間前から起きているリューマチの痛みがひどくなるので字を書きたがりません。・・・でも愚痴をならべた手紙にはしますまい。私どもはじっさい明るい気分で、歳はとっていても満足して暮らしています。>

筆者と筆者の姉は、こどものころ<小児リュウマチ>と診断されたことがあります。筆者は、それだけでなく、隣の土建会社の社長さんのリヤカーで、その娘さん(筆者より1歳年下)と一緒に、波止場のレンガを積み上げているところに行ったことがあります。そのとき、筆者とよしみちゃんの2人は、レンガの上に座って海を眺めていたのですが、突然、そのレンガの山が崩れ、筆者は、干潮で水がひいた岸壁の下の砂浜に落下、筆者の頭と両手にさらに崩れたレンガが落ちてきました。筆者は、すぐ整形外科に担ぎ込まれて何針もぬう手術を受けました。そのときのケガで、筆者の左手と右手の神経が障害を受けたのでしょう。なにもしていないときでも、筆者の左手と右手は微振動を繰り返し、ときに、痙攣を引き起こしてしまいます。いれたばかりのコーヒーをのみはじめたとき、右手が痙攣して、熱いコーヒーをこぼしたことが度々あります。

人生におけるちいさなできごとが、長い歳月、そのひとの人生を大きく変えることになるようです。

ヤスパースの手紙を受けとったアーレントは、こう返事を出しています。<リューマチの痛みはいやなものです。サリチルが効くことがあります。手紙を口述筆記してもらうことはおできになりませんか? ああ、私たちがもうすこしお近くに住んでいたら、どんなにいいでしょう! 心から、あなたがたのハンナ>・・・。

ハンナも気が動転してしまっていたのでしょうね、いつもの論理的な文章を綴るアーレントらしからぬ返事でした。

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