2023/08/19

<全国部落調査> (1935) を使った被差別部落聞き取り調査法 ・・・

    午前中、本田豊著『被差別部落の形成伝承』を読んでいました。

    部落史研究者の本田豊氏は、解放出版社の編集部から依頼され、その雑誌『部落解放』に東日本の被差別部落探訪記事を掲載してこられた方ですが、その聞き取り調査の内容をまとめて本にしたのが『被差別部落の民俗と伝承』 (1998) 、その続編として執筆されたのがこの『被差別部落の形成伝承』です。

    この本の中には、<全国部落調査> (1935) を使った被差別部落聞き取り調査法が紹介されています。


    本田豊氏は、被差別部落の<伝承を採集する際には、何度も何度も同じ部落に足を運んで、強い人間関係をつくるところからはじまる。 そして、世間話によく耳を傾け、共に笑い、共感しつつ、自然に聞くよりないのである>といいますが、日本基督教団西中国教区の山口の小さな教会の牧師をしていたとき教区総会で新設したばかりの西中国教区部落差別問題特別委員会の委員を押し付けられ、その委員長より、西中国教区がそれまでかかわってきた広島社会館のっ取り組みとは関係のない山口県内で取り組みをしろと<枠>を課せられました。 被差別部落出身でも、部落差別問題にかかわったこともない私が山口の地で被差別部落の中に入って運動をするなんて100%あり得ないことです。 しかし、山口県立高校の教師や新聞記者などによる<読書会>に参加したことで被差別部落との接点が生まれ、部落解放同盟新南陽支部の<学習会>に参加が許されるようになりました。 そのことで、私は、本田豊氏のいう<何度も何度も同じ部落に足を運んで、強い人間関係をつくるところからはじまる。 そして、世間話によく耳を傾け、共に笑い、共感しつつ、自然に聞く・・・>ことで被差別部落の生活と暮らし、歴史と民俗、被差別体験と差別をはねのけて生きてきた証言をたくさん聞くことができました。 その一部は録音してそれを私がワープロで冊子にしました。 そしてあるとき、部落解放同盟新南陽支部の支部長さんに頼まれて、その部落の歴史を調べることになりました。

    本田豊氏の著作を読んだのはつい最近ですから、本田豊氏の著作を読む前に、徳山市立中央図書館郷土資料室で被差別部落の在所を記したリストを探し、それを手がかりにその被差別部落の歴史を調べ、現地におもむいてその古老から聞き取り調査をすることになりました。 そのとき、私が被差別古老に、<私は被差別部落出身ではありません。 しかし日本基督教団西中国教区の部落差別問題特別委員会の員を押し付けられたのですが、部落問題に関する本を読んでも部落差別がなになのか、よく分かりません。 それで、被差別部落に出向いて、被差別部落の方がから直接話をお伺いした方がいいのではないかと思って、徳山市立中央図書館の郷土資料室でその在所を調べて訪ねてきました。 よろしければ、お話をお伺いしたいのですが・・・>と語りかけました。 私は一度も被差別部落の人々から聞き取りを拒絶されたことはありませんでした。 尋ねていく前に史資料でその被差別部落の歴史をあらかじめ確認していましたので、<共通の話材>を用意していましたから・・・。

    部落史研究者の本田豊氏の<全国部落調査> (1935) を使った被差別部落聞き取り調査法 ・・・、私が入手した本田豊氏の8冊の著作 (  『被差別部落の民俗と伝承』・『被差別部落の形成伝承』・『白山神社と被差別部落』・『江戸の部落 部落史研究の課題と方法』・『江戸の非人 部落史研究の課題』・『部落史からみた東京』・『戦国大名と賤民 信長・秀吉・家康と部落形成』・『部落史を歩く ルポ東北北陸の被差別部落』)を読み終える頃には、本田豊氏の歴史的研究法・民俗学的研究法を身に着けていることでしょう。

    といっても、部落史研究者の本田豊氏の<全国部落調査> (1935) を使った被差別部落聞き取り調査法を今棲息している東北福島の地で実践することは100%ありません。 インターネットで『全国部落調査』 (1936)を入手した被差別部落内外の若い人は本田豊氏の被差別部落調査法を実践してみてはいかがでしょう。 日本の社会から部落差別を解消するという高邁な理想を掲げて・・・。

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