2023/08/23

書庫から師岡佑行著『戦後部落解放論争史』を取り出して・・・

     熱中症の症状がなくなったあと、書庫から師岡佑行著『戦後部落解放論争史』を取り出しました。
    
    インターネットの日本の古本屋経由で入手したあとまだ一度も読んでいませんが、ブログ『部落学序説』をさらに深化させた『部落学』を執筆するためには、避けて通ることができない本です。

    私は高校生のときに600冊の本を読みましたが、その読書を通じて<思想>ではなく<哲学>で生きて行くことに決めました。日本のキリスト教界を席捲していた<社会主義思想と実存主義哲学>の論争とは無縁のところで、誰かが決めた<思想>で自分自身のことばとふるまいを規定して追従していくことに疑問を感じ、すべて自己の責任のもとに<哲学>しつつ生きることを選択しました。

    中学校3年生のとき、私が尊敬してあのような教師になりたいと思っていた中学校教師が、完全犯罪を企んで公金横領事件を起し警察に逮捕されるという出来事がありました。 そのときの精神的ショックが大きく、人間とはなにか、人間はなぜ罪を犯すのか、教師になるとはどいうことを意味するのか、教師は信頼するに足りうるのか、お前は罪を犯すことはないのか、中学校教師になったとして教師としての本文をまっとうすることができるのか・・・、いろいろな難問の解決を求めて600冊の読書をすることにりました。 その結論が、<思想>ではなく<哲学>することを選択、『聖書』の人間観に従って生きることでした。

    師岡佑行著『戦後部落解放論争史』は部落史研究の<哲学>ではなく<思想>の書・・・。 非政治的・非思想的な私がこの本がどれだけ理解できるかどうか分かりませんが、左翼主義思想の部落解放理論をより詳細に学ぶことはできるでしょう。 もちろん、『部落学序説』の視点・視角・視座からの批判検証以外のなにものでもありません。 戦後の部落解放論争(ソ連と中国の共産主義の影響)の背後には極めて差別的な<愚民論>がありますが、その<愚民論>を知る上でも貴重な本です。 <愚民論>を基盤にして差別思想<賤民史観>が構築されていきます。 <愚民論>と<賤民史観>は日本の知識階級・中産階級に通底した差別思想です。 差別思想に乗っかった部落解放運動は差別の拡大再生産に資することはあれ、決して部落差別完全解消にはつながらないのです。

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