『アーレント=ヤスパース往復書簡』の、ヤスパースがアーレントに書いた手紙の一節・・・。
<ケネディの就任演説以来、われわれのところにもやはりほとんど経験したことのない何かが彼から放出されてきました。希望です――一人の男がものをはっきり見ていうべきことをずばりと言い、最良の男たちを周囲に惹き寄せ、自然な信念の力でもって、なんのために人生は生きるに値するかを世界にはっきり感じさせようとしているのだ、と。彼は権力の座にある政治家のうちではじめて、いっさいの条件も手加減もなしに、「いかなる犠牲を払っても」自由を、と言ったのです。ひょっとすると彼になら、この思いがけないことが可能かもしれない。一人の男が、その言葉と身振りと実際の行動がみんなを心服させるがゆえに勇気をあたえる、だからみんなはもっと力を奮い起こして、真実の厳しさを直視するだろう。このような希望がわれわれにどんなに必要なことか!>
その1年半前、ヤスパースは、<1916年に自分でこしらえた原則をまたあらためて守ったのです。――現実の政治問題には決して嘴を突っ込むな、政治状況一般についてしか発言してはならぬ、と。>とアーレントに書き送っていますが、ヤスパースは、<人間の自由>について語るときは、自制の枠をたやすく乗り越えるのが常・・・。人間にとって、自由は、かけがえのないものです。
ロシアの侵略戦争に抗して、国家と国民、歴史と文化、民族と共存のために防衛戦争を余儀なくされているウクライナの人々にとっても、中国共産党率いる中国に蹂躙されているウイグルの人々にとっても、自由と、自由への希望は、その存在をかけて戦うに値するものです。
2022/10/26
いかなる犠牲を払っても自由を・・・!
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