今朝、『英訳聖書』(NSRV)を通読していたとき、目にとまったことば、
<What use is an idol once its makere has shaped it―― a cast image, a teacher of lies?>
なんと訳して、なんと解釈すればいいのだろう・・・? と思いながら、数十分を過ごしてしまいました。最終的に筆者が訳したのは、
<あるとき作者が形成した偶像、つまり、鋳像、嘘の教師は無用の存在である>。
『文語訳聖書』をひもといてみますと、<偶像はその作者これを作りて頼むとも何の役あらんや 又鋳像および偽師は語はぬ偶像なればその偶像の作者これを作りて頼むとも何の益あらんや>とありました。多分、『文語訳聖書』のほうが意訳なのでしょう。
彫刻師が彫刻したり、陶器師が粘土でつくったり、鋳物師が鋳像したりしてつくられた神々の像(偶像)は、語はぬ(ものいわぬ)存在・・・。そのものいわぬ存在を通して、自分の意志を語る教師は、ほんとうの教師ではなく<a teacher of lies>・・・。いくつもの嘘に嘘を重ねて、自らの恣意的な言葉を神の託宣の如く絶対的な真実だとして、その教師に批判的な他者に対して、逆に、<a teacher of lies>よばわりする・・・。
筆者、中学3年生のとき、美術教師のTS先生のような教師になりたいと夢を抱いて高校受験の勉強をしていましたが、そんな3学期のある日、ラジオからニュースが流されました。いつもは聞き流しているのですが、そのときは、そのニュースがテープを巻き戻すかのように最初から筆者の頭のなかを駆け巡りました。<○○中学校公金横領事件を捜査していた○○署は、同校教諭TSを逮捕しました・・・>。尊敬していて、あの教師のような教師になりたいと思っていた筆者にとっては、天地がひっくり返ったかのような衝撃でした。ラジオニュースを聞きながら読んでいた聖書の箇所は、<あなたがたの多くは教師にならないほうがよい>という言葉が綴られていた箇所でした。筆者のなかで、<偶像>が音を立てて崩れていったよう衝撃でした。
<a teacher of lies>は、教師も嘘をつくことがあるという意味だけでなく、その教師そのものが虚偽的存在であるという意味が込められているように思われます。『文語訳聖書』では<偽師>と訳されていますが、<偽教師>の略語です。昔も今も<偽教師>は多い・・・。問題の深刻さは、その<偽教師>が自らが<偽教師>であることを自覚していない、できない点にあります。
偽教師は、教え子の夢を育むのではなく、その夢を粉々に粉砕する・・・。
2022/11/01
難解な聖書のことば<a teacher of lies>・・・
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