日本基督教団西中国教区の山口のちいさな教会の牧師をしていたとき、よく、妻と一緒に県北、中国山地をドライブしました。
棚田の田で、米を栽培している農家にであうと、いろいろ、米の有機・無農薬栽培法について教えを請いました。山口の農家はどの方も、筆者と妻が、日本基督教団の隠退牧師になり、妻のふるさと・福島の湖南に帰郷・帰農して、有機・無農薬で米を栽培する計画があるとお話ししますと、<そうか、ふるさとに帰るのか。じゃあ、ほんとうのことを教えねばならねえなあ。福島に帰ったあと、山口の農家が話していたことは全部うそだったと思われては、山口の農家の恥だからなあ。聞きたいことがあればなんでも聞け。なんでも教えてあげるから・・・>といって、筆者と妻にいろいろ教えてくださいました。
2013年4月1日に、日本基督教団の隠退牧師になり、妻のふるさと・福島の湖南で、有機・無農薬栽培でコメつくりをはじめようとしますと、湖南の赤津村のプロの農家の方々が筆者と妻に語りかけてきました。<ここらの農家は、よそもんのおめえらがコメつくりをはじめると聞いて、おめえらには、なにひとつ、コメつくりの方法は教えねえことにとりきめてんだ!>と。中には、尋ねてもいないのに、いろいろアドバイスしてくるプロの農家もいましたが、農書で確認すると、<してはいけない>ことばかり・・・。<ここらでコシヒカリ、採れるわけねえべえ? 採れなくて、泣きべそかくの、見るのがたのしみだなあ!>と悪態をつくプロの農家が少なくありませんでした。
山口の農家と福島の農家と、その性格は、こんなにも違うものかと、驚かされましたが、いまでは、湖南の赤津村のプロの農家とは、ほとんど話をしませんので、<おめえ、バカでねえのけ? ここらでは、コシヒカリは採れねえ!>という雑音に耳をかたむけることもなくなりました。<吉田? コシヒカリが採れたといってるけど、あれはうそだ。採れてねえ!>という、プロの農家の声が定説になっています。なぜ、そこまで確信を持って言えるのか、彼らは、コメが収穫できたかどうかを、JA湖南に納品したかどうかで判断しているようです。<吉田? ここさ帰ってきてから、一度でもJA湖南にコメを出したことはねえ! 今年も出してねえから、できなかったんだべえ!> JA湖南の正組合員・準組合員になるには、田畑を5.0反以上もっていることが条件になります。妻の実家の田畑は、4.6反しかありませんので、JA湖南の組合員にも、職業としての<農家>になることもできません。そんな状況、農村的地域社会固有の排除・疎外の状況に置かれて、はや10年が過ぎようとしています。
2022/11/13
山口の農家と福島の農家の違い・・・
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