2023/04/04

ルーマン著『社会の教育システム』は、筆者には読み易い・・・

ルーマンの『社会の教育システム』を断続的に通読していますが、難解なルーマンの社会学の本にしては、筆者にとっては、とても読み易い本です。

筆者が中学3年生の3学期、高校受験を前にして、とんでもない事件が発生しました。筆者が尊敬し、<あの教師のような教師になりたい・・・>と思っていた中学校教師が、勤務していた中学校の公金を横領したという事件の犯人として逮捕されたという事件です。その中学校教師は、美術の教師で、筆者が小学校5~6年生のときの担任でした。団塊の世代は、生徒数が多く、その小学校教師は、中学の美術の教師として転任していきましたが、その転任先の中学校でその公金を横領したのです。しかも、完全犯罪を企んで・・。

そのことは、筆者の高校生活に暗い影を落としました。教育とは何なのか? 教師が生徒を教育するとは何なのか? 教師とは何か? その理想と現実をどうらえればいいのか? 教師が生徒を教育することは可能なのか? 人間とはなにか? 人間は信頼しうるものなのか? 教師は信頼できる存在なのか? 犯罪を犯した教師を切り捨てて教育者の正当性を訴える教師をどうとらえたらいいのか? 犯罪をおかした教師を生み出した学校教育とは何なのか? 小学生のときのその教師による成績評価をどうとらえたらいいのか? 間違いがない評価といえるのかどうか? 人生において大切なものは何なのか? 真善美の中で一番大切なものはなにか? 人はなぜ道を踏み外し犯罪に走るのか? 長い人生の中で罪を犯さないという確信をどのようにしたら持つことができるのか? なにが正しいかは学校教育や学校教師に依存せず自らのうちにその基準を確立する必要があるのではないか・・・、などなど、筆者の高校生としての3年間は、学校教育と中学教師、人生のあるべき姿と現実との間のギャップをどのように克服していけばいいのかについての、精神的葛藤の日々でした。そのような問いに対して、これまで筆者が読んだ教育学関連の書籍には、ほとんど何も言及されていませんでした。

しかし、ルーマンの『社会の教育システム』・・・、筆者の若かりし日の教育と教師、人生を生きるときの格率と原理に関する問いに対して、社会学者として、痛烈に批判を展開しているようです。ルーマンの『社会の教育システム』が、無学歴・無資格(Academic Outsider)の筆者にとって、とても読み易いのは、学校教育と中学校教師に対する失望と挫折、苦悩と葛藤の日々を経験したからではないかと思います。

今日、犯罪を犯す中学校教師があとをたたず、犯罪をおかさないまでも、犯罪すれすれの言動をして省みない中学校教師が多い・・・。中学校教師の指導内容だけでなく、中学校教師の生きざまも常に問われなければならない状況が現在もなお続いているのは、憂慮すべきことであると思われますが、ルーマンの『社会の教育システム』、通読を終えたら、その書の全体を視野にいれながら最初から最後まで精読して、社会学者ルーマンの教育・教師に関するす言説を自分のものにしたいと思います。


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