居間の私のノートパソコンのディスプレイの背景に, 黒猫黒兵衛の写真をセットしました.
黒猫黒兵衛のことを, 私は "介護猫" とよんでいました. 妻と私が農作業のために田畑にでかけたとき, 認知症の, 妻の実家のおかあさんと一緒にいました.
妻の実家のお母さん, 誰も居ないと思って黒兵衛に語りかけていました. "帰ってくるの, 遅いな・・・. もしかしたら, おらに愛想尽かして出て行ったのではあるめえな・・・. それはねえなあ・・・. 出ていくとき, 黒を置いていくわけねえもんな・・・. おらより黒の方が大切みたいんだもんな・・・. おらには切り身で, 黒には尾頭付き食わしてるべえ・・・".
認知症のデパスという薬のせいで,凶暴化して妻に暴力を振るうようになった, 妻の実家のおかあさんに, "おらのおかあさんに何してんだ! やめろ!" といっておかあさんの手を引っ掻いたり噛みついたりしていました. そして, 黒猫黒兵衛とおかあさんの血みどろの戦いの結果, 休戦状態に入り,ついにはふたりで仲良く暮らす様になりました. 妻の実家のおかさんが居間で座ったままうんちを催したとき, 一番最初に気がつくのが黒猫黒兵衛で, "くせー,くせー, ばあさんがくせー" と鳴いて,妻か私に教えてくれました. それで, いつのまにか, 黒猫黒兵衛のことを "介護ねこ" と呼ぶようになりました.
妻の実家のおかあさんが, 介護をしている妻に, "おらのこと,めんどうみてくれてたのはA子だったんだなあ, ありがとな・・・" という言葉を残して去って行ったあと, 黒猫黒兵衛もあとを追うように去って行きました. 妻は, 小学1年生の娘が, 犬に噛まれて血だるまになった子猫の白猫から生まれた猫を育ててきましたが, 黒猫黒兵衛はその最後の猫になりました.黒猫黒兵衛は, 忘れがたき, 忘れてなるまじき猫です.
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