<受け入れてばかりゐる生活とは縁を切って制作を始めなくてはならない。纏めをつけて実現する。即ち製作して特殊化する。愚図愚図してはゐられない。お前もやがて27歳になる。お前の若さ、お前の力を何かの役に立てなくてはいけない、お前の生命が無益に蒸発してはならない。とすれば間に合ううちに集中しなくてはならなない。自分の仕事を定めてやらなければならない。仕事。これを毎日お前の思索の対象にする。日のあるうちに働け、お前は自分に与えられた才能の責任を持たなければならない。一人一人にその仕事がある。我々は皆我々の種属の仕事にたずさわり、人類の使命を見出してそれを実現することに努めてゐる。靴の底を縫う靴屋も幾多の仲介を経て人間のうちの神の生活を大きくするのに役立ってゐる。生命の上昇的変形、前進的精神化、これが我々の義務だ、人間が益々神聖になるのを助けろ。理知に於いて、感情に於いて、行為に於いて。それが目的だ。——あらゆる職業のうちでお前が選ぶべき職業はどれか、お前が一番お前自身であり得る職業は。叉一番よく果たしうるのは、統一の學、哲學、人生の哲學。>(岩波文庫『アミエルの日記』)
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