妻のふるさと・湖南の赤津村に帰郷・帰農した年、2013年に、湖南町福良村出身の高校教師・結城昭八さんの『心象童話 流れる雲と野と人の賛歌』の言葉を拾って歌詞をつくり、鉄道唱歌の調べに載せて歌えるようにしました。その再掲・・・。妻のふるさとに抱いた最初のイメージを大切にしたいと思います。 吉田向学の『湖南賛歌』
ここはふるさと みずうみの 北に見えるは 磐梯山
雄々しき姿の 隣には
その名も優し 吾妻山
雪の下から 芽を出して
土手やあぜ道 フキノトウ
細かく刻んで 炒めては
味噌と砂糖で 味をつけ
かげろう燃ゆる 野に出でて
摘むも楽しき フキノトウ
ひとの人生の 短さに
よくにた味の ほろ苦さ
雪が溶けて 春になる
白い毛皮の 野うさぎは
春は栗色 衣替え
ひとめ目立たぬ つつましさ
春の淡雪 はかなくて
積もっては消える ねこやなぎ
頬をなでる 風さえも
肌のぬくもり あたたかや
苗代たねまく 時がきて
雪消す音は ガチャガチャと
シャベルの音が こだまする
そりで運ばれ 水の中
まいたたねもみ 芽を出して
一寸くらいに 突き出ると
うめやスモモの 花も咲き
ウグイス・フクロウ 鳴きはじめ
五月になれば 清流の
ながれの石の 上で鳴く
カジカの声は ほろほろと
谷地田に響く 美しさ
若葉しげれる 川上は
かっこう鳴いて こだまする
心にしみる その声は
孤独楽しむ 時となる
湖南の山の ほととぎす
テッペンカケタカ 鳴きわたる
姿見せねど そのつばさ
青さに染まる 美しさ
色鮮やかな かわせみは
翡翠の鳥と 申すなり
空と水とを 行き通い
漁りするのも おもしろや
空の青さを映し出す
田の面に泳ぐ みずすまし
波紋を乱す ゲンゴロウ
ミズカマキリやタイコウチ
イネの刈入れ 終えたれば
ワラを大きな 束にして
家のまわりに 押し当てて
雪の囲いも 習わしや
奥山もみじに 色づけば
夏蚕の桑の 枝を切り
ドウを編んで 川に挿し
やがてかかるは アメマスで
獲ったアメマス 串にさし
炉辺で焼いて ワラに挿す
冬のつれづれ 取り出して
父の肴と なりにけり
昔ほし草 とるために
のぼった山は ドンデン山
薄・サルトリ 気をつけて
愛でる花は 女郎花
しばし休んで 藪の中
見つけたあけび 山梨や
山のぶどうや えびつるや
房を探すも 楽しきや
野良の仕事を 終えたあと
茄子紺色した 山間の
夜の空には 果てしない
銀河の流れ 秋冴えて
渡りゆく鳥 身を休む
渡ってくる鳥 長旅の
疲れを癒す 山の木々
湖南の山の やさしさよ
雪が積もった次の日は
木の実探しが できなくて
ギャアギャア泣いてる カケスたち
杉の木の枝 蹴り上げる
田畑を通って 野うさぎは
月夜の晩に やってくる
足跡残る 雪の上
仲間と群れなし 連れなして
晴れた雪の日 雪合戦
積もった雪も なんのその
遊ぶすがたの こどもたち
学舎すべて 雪の中
積もる雪を かき分けて
さくらやならや ほうのきや
なたで切り出し つくるのは
父が自慢の スキー板
湖南の雪は いろいろに
こな雪わた雪 ぼたん雪
みぞれあられ ざらめ雪
かた雪ね雪 おもしろや
雪国湖南の 道々は
さいひを立てて 道しるべ
雪に隠れた 川や崖
落ちるを防ぐ 村の知恵
厳しき冬の あしたには
樹氷ができて キラキラと
朝日に輝く 美しさ
鳥の鳴き声 キビキビと
冬も遠のく 朝のこと
雪踏み俵で キュッキュッと
音立てながら 帰る道
杉の梢に リスを見る
茄子とトマトの 苗作る
温床つくりに 落ち葉かき
こぶしの花や まんさくや
カタクリの花 眺めつつ
昔の自然の 美しさ
忘れてならじと 四季の里
福良の古老が 語り継ぐ
湖南の明日に 栄えあれ
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