夜、三浦周行著『法制史の研究・上』(昭和18)と『法制史の研究・下』(昭和19)の表紙を製本テープで補強しました。
そのあと、パラパラめくっていて、目にとまったのが、戦国時代における<地下人の義務>という文章に出てくる<地下>の対語・・・。
<地下>と<隣郷>がセットで出てきました。<jige>⇐⇒<ringou>・・・。戦国時代には、身分概念としての<地下>ではなく、<隣郷>の対語の<自郷>(jigou)がなまってそれが<地下>という既に古語となっていた漢字があてがわれたのではないかと推察しました。
地下人:自郷人 自分の村の住民
地下侍:自郷侍 自分の村の侍
地下医:自郷医師 自分の村の医師
長州藩の『地下上申』・『防長風土注進案』から、こんな表現が推測できるかもしれません。
地下穢多:自郷の穢多 地下人の中から司法・警察役に任命された穢多
インターネットで検索すると、<戦国期の郷村においては有力層を指す「地下人」の呼称が存在する。>そうです、『法制史の研究・下』には、<領主地下人等をして・・・義務を負はしめたりき>とありますが、その義務は、折衝与奪の権をともなう犯罪者の取り締まり、逮捕、処罰、それから街道の整備・警備、竹木の無断伐採・田畑を荒らす所業の取り締まり・処罰など・・・。おおむね、近世幕藩体制下の司法警察である穢多の役目と同じ・・・。刀狩による兵農分離が行われた結果、地下は、折衝与奪の権を持つもの(非常のの民:村方三役・穢多役)と持たないもの(百姓・僧侶・神主)とに分かれたようです。わかれても、非常の民(非常・民)も常の民(常・民)も同じひとつの<地下>(自郷)に属して共に生きていた・・・。その推測が的を得ているとしたら、近世幕藩体制下の<穢多>は、<村方三役>と同じ、<戦国期の郷村においては有力層>の末裔・・・。
2021/12/25
地下の対語は・・・?
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