小学生のころの私のあだ名・・・

    子どもの頃, なにかをしているときは精神を集中していて, 他のことが聞こえなくなります. そのときよく父が, ”みったかきいたか？ ” と歌を歌って語りかけてきました. 

    小学３～４年生のとき, よく同学年の女の子にからかわれていました. 

    みっちゃんみがつく, みみずくほうし
    法師、胞子で飛んで行け！

    私の２歳したの妹は、”このはやし歌は, 小学校の先生がつくって, みんながおにいちゃんにだけ歌っていた歌・・・”と話していましたが, あまり, ひとめにつかないひかえめな私にあだながつけられることはありませんでした. 

    記憶に残る最初のあだ名は, ”絶壁”・・・. 

    小学校５年生のとき, 担任の教師が, ”刑務所にいる犯罪者はみんな吉田と同じ頭をしている. 頭のうしろが絶壁だ” と授業中に話したことで, 私のあだ名は ”絶壁” になってしまいました. ”絶壁” というあだ名には, ”犯罪予備軍” みたいな響きがあって, とてもいやなあだ名でした.

     そのあだ名がなくなったのは, 中学２年生のときの数学教師が, ”吉田は変わってるな.  問題が難しいときも易しいときもいつも９０点だ. ９０点以外の点をとったことがない. 吉田は直角９０度だ. 直角は９０しかないからな・・・” と話したことで, 私のあだ名は, ”直角90度” ないし ”直角” に変わってしまいました. 

    病院で臨床病理の検査に従事しているとき, 専門商社につとめているときの私のあだ名は, よきにつけあしきにつけ, ”クリスチャンの吉田くん” ・・・. 

    私のあだ名として ”絶壁” がつけられるきっかけになった小学校教師は, 小学校６年生のときクラスの中で上位１０番以内に入った生徒には放課後英語を教えてくれましたが, 私もその英語の授業を受けることができた一人・・・.　小学校を卒業して中学校に入った年, その小学校教師は美術の教師として隣の中学校に赴任して行きました. そして, 中学３年の, 高校進学を前にしたある日, ラジオからニュースが流されました. いつもは聞き流していたラジオのニュースがテープを再生するかのように頭の中を駆け巡りました. ”〇〇中学校公金横領事件を捜査していた〇〇署は同校教諭〇〇を容疑者として逮捕しました・・・” そのニュースが聞こえてきたとき, 私は新約聖書を読んでいました. そのときのことばが, ”あなたがたのうちの多くの者は, 教師にならないがよい. わたしたち教師が, 他の人たちよりも, もっときびしいさばきを受けることが, よくわかっているからである。わたしたちは皆, 多くのあやまちを犯すものである・・・” ということばでした.    ”刑務所にいる犯罪者はみんな吉田と同じ頭をしている. 頭のうしろが絶壁だ” と授業中にみんなの前で話をしていた学校教師が, 犯罪を犯して刑務所に入れられることになったけれど, 彼の頭は ”絶壁” ではない・・・. その事件があって, 私は, ”絶壁” という呪縛から逃れることができました. 

    私の母は, ”あなたは, こどものころからだが弱くていつも寝たっきりだったの. あたまがいびつな形にならないように気配りをしていたのだけれど, いつのまにか, いまみたいなあたまになったの. 生まれたときは, 丸い普通のあたまだったのよ” と話していました. 

    神学校に入ってから隠退牧師になるまでの間, 私に着けられたあだ名は, ”無学歴・無資格” ・ ”どこのうまのほねかわからない牧師”・”ラディカルな牧師” ・・・. 年をとるにつれて、辛辣なあだ名がつけられるようになりました.

    今は, ”よそもん”・ ”ばか農家”・・・.